2008年3月17日月曜日

文化を飲み込み消化し同化する恐るべき民族

チベットでの暴動発生について改めて考えさせられた。

今回の暴動の原因は情報が錯綜していてはっきりしない。チベット側曰く「文化的殺戮」、中国側曰く「独立派の扇動」。以下のブログで現地の言葉が伝えられている。

【記者ブログ】情報統制を超えて漏れ聞こえるラサの悲鳴をきけ! 福島香織

きっかけは僧侶のハンガーストライキで、要求は「漢族、回族の大量移民政策の停止」だったらしい。中国は過去にも自治区に漢族を大量移民させて民族的独立 性を消滅させる政策を実施した。この政策は漢民族のお家芸だ。漢民族は支配民族であろうと、被支配民族であろうと文化的な独自性を消失させ同化させる不思 議な文化的影響力をもった民族だ。

中国というと「漢民族」が支配民族であるように思うが、実際のところ漢民族が中国大陸を支配していた期間は短い。記録がハッキリしている秦から数えても、多くは無い。
秦・漢・三国・晋・南北朝・隋・唐・五代・宋・元・明・清・中華民国・中華人民共和国
と続く歴代王朝や政権の中で漢民族が主体であったのはわずかに漢~晋と宋、明あたりだろう。特に晋以降の漢政権は弱く周辺民族の脅威に常にさらされてい た。しかし、そんな中にあって漢民族は支配民族を漢化し自分たちの文化を守り、あまつさえ拡大させてきた。あの強大な元ですら、漢文化を脅かすことは無 く、むしろ支配のために利用した。

それに加えて辺境への大量移民も中国歴代政権のお家芸である。日本でも江戸時代にお国替えなどという移封政策はあったが、支配層だけが移動するのと違い、 中国では一般人まで含めて根こそぎ移動することが特徴だ。昔であれば移動する手段などの制限もあってそれほど遠くに大量に移民をさせることは不可能であっ た。しかし、現在では鉄道などによって大量の輸送が可能になったことがその影響範囲を格段に広くしている。

この様な影響はアジア全域の中国と陸続きになっている国には全て広まっている。朝鮮半島も例外ではない。古来、複音姓であった朝鮮半島が「金」「李」などの漢風姓になっているのがその影響だ。それでも朝鮮半島は朝鮮語などの文化を守ることが出来た。

今回のチベット動乱は歴史的に中国から大きな影響を受け、文化の危機を経験した国ほど声をあげて良い。韓国、ベトナム、タイ、モンゴルなど。韓国などはチベットを従容として認めたら、次は自分たちの番だという危機感を持っても良い気がする。

さて、我らが日本は荒波猛る日本海、玄界灘に感謝しなければいけない。大陸文化の影響を受けつつも、独自の文化を守り発展させることが出来た。しかし、険 しい山脈によって守られていたチベットが中国に侵攻されたという事実、はほんの少し状況が違えば戦後日本にも起き得たことだ。それを考えると、日本の幸運 に感謝しつつ、そんな無法・無秩序なことを許さないためにも断固中国政府に抗議するべきことだと思う。

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