2011年3月14日月曜日

災害復旧はロジスティックスの復旧である

東日本激甚震災は陸海空の全てのロジスティックスを崩壊させた。未だ沿岸で(空中から?)確認された数百の遺体が収容されないのは、そこまでの道路が寸断され、近づけないからだ。直接の災害地である東北各地だけでなく、都内で物資の欠乏が起きているのも、物資を供給する道路、鉄道、トラック及びそれらの運転手が不足するために起きる。忘れられ勝ちなのは、運転手という人的リソースの問題だ。

今回の電力不足による電鉄の減便は、特にトラック運転手の通勤に支障をきたし、輸送能力を大幅に損なう。また、電鉄減便によってマイカー移動が急増することで、トラックの運行は通常の二倍以上になっている。連続した運行は安全上避けなければならず、更に運転手が不足する結果となる。更に、燃料が不足してきている。

ガソリンや軽油などの輸送も減っており、不安心理により給油や備蓄が増えているため、スタンドの備蓄が底をついている。運送会社の備蓄は供給が減っているため同じく底をついてきている。こうして物流が滞ることで小売店頭の在庫が不足しはじめ、またも不安心理により買い占めが発生する。そして、通常よりも大きな、そしてパターンの違う需要が急増すると、倉庫や運送には予期せぬ発注が殺到する。

予期せぬ発注に場当たり的に対応すると、供給が偏り欠乏が頻発する。ポイントは巨大な輸送能力を持つ電車の減便だ。それがロジスティックスのバランスを崩している。

しかし、電力不足のために電車の減便は仕方がない。昼間の輸送能力には余裕があるだろうから、利用者の分散があればなんとかなる。だが、通勤時間=会社の営業時間を変えるというインセンティブは、福耳官房長官がいくらお願いしても働かない。そこで、一時的に電鉄会社に時間帯によって追加運賃を設定することを許可してはどうだろうか?

通常の通勤時間帯の運賃を高く設定するのだ。通勤費は固定費の中でもそれなりの比率になる。それを極端に言えば倍にしてしまえば会社側も営業時間のシフトや職種ごとのシフトを考えるだろう。システムの変更が必要になるが、運賃を転嫁すれば多少無理して開発させても良いだろう。

料金改訂のロジックはあるのだから、それを頻繁に行うということだ。追加運賃のチャージを券売機でさせれば、それが入場制限の役割も果たすだろう。ポイントは「通勤時間をずらすことが業績に影響しない」企業に営業時間を変えるインセンティブを働かせることだ。営業時間の死守が必要な、小売とそれに付随する物流はコストをかけることを了とするだろう。

ロジスティックス上の負荷が平準化されれば、供給能力は急激に改善される。被災地以外のロジスティックスが改善され余力が生まれると、被災地への供給能力の強化にあてられる。今の道路環境では、土木機械や資材の大量輸送もままならない。必要なものが必要な場所に届いてこそ、災害復旧はスタートする。

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