2011年12月2日金曜日

自動車通商問題ふたたび

日本のTPP交渉参加に米国の自動車業界団体が反対しているのだそうだ。理由は「日本市場における輸入車のシェアの低さ」だそうだ。

「多くの先進諸国では輸入車の比率が40%以上なのに日本では5%しかない。」

という事実を以て日本市場は閉鎖的だというわけだ。

しかし、

「自動車の関税はゼロ」

となっている以上、他に輸入車の販売を妨げる理由が分からない。

日米構造協議の時は、左ハンドルのまま輸入しても売れないのに、アメリカのごり押しで数値目標まで上げた。アメリカでの雇用増を求められて日本の部品会社までアメリカに進出したが、結果的にアメリカの自動車産業の基盤である部品製造まで日本企業が席巻する結果となった。日米間にあったのは日本市場への参入障壁ではなく、日米間の品質のギャップであった。品質が良くて安い自動車が売れないわけがない。

問題は米国の自動車が日本の自動車と変わらない品質になることと、その事の日本市場への浸透である。自国の製品より品質が悪くて高いものを買うのは酔狂であるから黙ってたって売れるようにはならない。

ビッグ4の経営危機でロビー活動によるごり押しではじり貧になると分かったと思っていたが、アメリカの自動車産業は政府の支援なしでは成り立たないことが良く分かった。

2011年11月20日日曜日

DeNAの横浜買収騒ぎについて

投稿し忘れの記事を投稿。

ココカラ…
DeNAの横浜買収に、自称"球界の盟主""新聞世界のナベツネ"が「出会い系」とやや偏った批判をして、驚くことに「出会い系もやってる通販会社」の楽天が相乗り。ソフトバンクは今や球団に頼らなくとも知名度が高い上に球団も強いので、この様子を遠巻きに見ている感じ。セ・リーグの話にパ・リーグの楽天が全力で難癖をつけるのは、元々は楽天が横浜を買収したかったからだろう。知名度が低くて弱い楽天で我慢しているのに、横からかっさらわれるのは嫌なもんだろう。

横浜は、中々Aクラス定着が出来ない。セ・リーグ6球団で上位半分の3つの席のうち、巨人は確定している。阪神と中日もかなりの確率でAクラス。残り1つを3球団が争うのだが、横浜は最下位になることが多い。

そんな横浜を買収するならば、それは企業の知名度を上げるためだ。しかし、楽天はパ・リーグだったために思ったよりも効果が出てない。いっそ、楽天を売却して、横浜買収を仕掛けることも考えていたろう。

美味い汁は吸わせねぇぜ。
…ココマデ

追記
ナベツネがDeNA創業者と面会して軟化したのには爆笑。たぶん、それまで彼女がハーバード出身のエリートとは知らなかったのだろう。結局、自分達側の人だと知ったから認めたのだ。なんとも"プロ野球村"の村長は尊大な人物だ。

2011年10月28日金曜日

郵政を片付けろ

郵政法案の修正協議を梃子に民主・自民・公明の三党融和を図る動きがある。民営化を進めた自民党も本音では民営化には消極的で、民主党は反小泉で民営化反対だっただけで明確なポリシーはない。公明党は、母体である宗教団体の教義を考えると、あまねく日本中に慈善を施す「ユニバーサルサービス」には積極的だろう。その点、元代表の保有する輸送会社が郵政の仕事をしている国民新党よりも公明党の考えの方がマシだ。

しかし、この「ユニバーサルサービス」を再考することが今は重要だ。

20世紀後半まで、経済成長や豊かになることは人々の生活圏が拡大することと同義であった。経済成長の基本は天然資源の採掘や農作物であったため、生産の拡大には広大な土地を必要とした。更に、都市の高層化技術が未熟だったため、経済成長とともに増える人口を都市は吸収出来ず、結果的に都市近郊に生活圏が拡大した。

「ユニバーサルサービス」は多くの人や産業を郊外や地方に分散させる為に国家が整備を約束したものだ。

ところが、今や日本に於ける経済成長の基盤は資源採掘や農生産から工業生産を経て知識産業やサービス業に以降した。これらは生産に必要な土地は少なくて良い。更に、高層建築技術の発展は都市の人口吸収力を倍加させ、生活圏はどんどん都市に吸い寄せられている。

地方や郊外に国民を住まわさざるを得なかったための「ユニバーサルサービス」は、全員が都市に住める様になれば不要となる。ニーズがなければ縮小して、それによって都市への人口集中を促すという発想があってよいではないかと思う。

そして、この愚にもつかない論争に幕を下ろしてもらいたい。

2011年10月6日木曜日

ジョブス その全てが伝説

Apple創業者のスティーブ・ジョブスが旅立った。生前禅に傾倒した彼は天国に辿りつくのか悟りに辿り着くのか。その死の発表がiPhone4S発表の翌日となったことも含めて、その全てが伝説となった。

iPhone4Sが「For Steve」を指すと言われて、それが嘘か誠か分からないが、説得力を持ってしまうところが尚も彼を彩る。

2011年9月29日木曜日

小沢一郎が政治家として不適格だと思う3つの理由

小沢一郎議員の元秘書に有罪判決が下った。被告は控訴するだろうから最終結論は未だ先の話だ。ここではこの疑惑や判決については何も論じない。事実も真実も闇の中。

ただ、僕は小沢一郎という人は3つの理由から政治家には不適格だと思う。1つ目は党争に弱いということだ。良かれ悪しかれ多数決を積み重ねて政策を決定し実現するのだから、意見を異にする党派間の争いに勝てなければ何も出来ない。小沢一郎は自民党経世会の主流争いに敗れ、非自民連立での主導権争いに敗れ、民主党でも引きずり下ろされた。党派争いに勝った試しがない。

次に、有権者を説得する力に欠けている。今の日本は、利益を如何に分配するかではなく、負担を如何に分配するかが問題だ。「国が何をしてくれるかではなく、国の為に何が出来るか」と訴え説得する力が必要なのだ。なのに彼は「口下手だから」となにも訴えない。

そして最後に、負けてもしがみつく、口下手で笑われようと形振り構わず訴える執念に欠けている。好対照なのは小泉首相だ。総裁選で負けても何度も挑戦し、郵政民営化の旗色が悪ければ解散してでも実現させる。人気が出たから皆が誉めるが演説は決して上手くない。それでも最後までしがみつく執念があった。

こう考えると、小沢一郎は「党争に勝つ力」も「人を説得する技」も「最後までやり抜く心」もない。これで横綱になれるわけがないじゃないか。

2011年9月11日日曜日

大臣の覚悟

鉢呂経済産業大臣が辞任した。就任9日目のことで、大臣在任期間は史上三番目の短さとなる。この辞任劇にあたっては様々なことが取り沙汰されている。

「死の町」という表現は適切であったか?
被災地を「死の町」と評したことは詩的な表現としては理解できる。被災地を見て受けた衝撃を素直に表したものだろう。だから、この表現が即座に被災地を侮辱するとは思わない。メディアは、この表現に問題を感じたならば何故その時に真意を糺さなかったのだろう。
メディアの「言葉狩り」との批判もあるが、それよりはその場で真意を明らかにする切り込みが出来ないメディアに失望した。なんのことはない。イギリス首相がついているのを忘れて失言したのを拾ったマイクと、この記者は一緒だ。人間である必要はない。
ちなみに、イギリス首相の失言はラジオで首相同席の場で放送され、キャスターは首相の真意に切り込んだ。録りっぱなし、流しっぱなしではないのだ。

放射能なすりつけはあったのか
辞任会見でも事実は分からなかった。フリーのジャーナリストから記者クラブでの発言で事実性に疑問があるのではと指摘されていたが、大臣にははっきりと答えられなかった。そういう"軽口"があってもおかしくないし、そういう素人っぽさが民主党議員はなかなか抜けないということだろう。ただ、辞任会見での記者側の混乱を知ると、報道側の問題もあったのではないかと思える。

鉢呂大臣に適格はあったか?
なかっただろうと思う。というのはこの程度で辞任するというのは大臣として為し遂げたい使命感に欠けていたと思うからだ。仮に、被災地の産業復興や経済再生、原発事故処理を自らが為し遂げるべき使命と思っていたら、簡単には辞めないからだ。惨めだろうと、しがみついてでも為し遂げただろう。
為すべき使命がなければ守るのは自分のプライドだけとなる。あの会見は自分を守るための会見で、辞任をショーアップするだけのものだ。たから記者の乱入もあったわけだ。こういう人は民間企業にもたくさんいて、得てして身内からの評価は高い。しかし、顧客や部下からの評価は散々で、組織を停滞させる。
そういう意味でこの人事は失敗だったわけだ。だから、野田首相が本来やるべきだったことは鉢呂大臣の罷免であった。任命権者の責任の取り方は具体的に自らの決断を否定することしかない。

2011年9月8日木曜日

原因と結果だけでなく、影響までも逆転

Newsweek日本版に「地球温暖化で緑化が進む?常識を覆す楽観論が登場」という記事が掲載されている。理屈としては、「かつて豊かな緑に覆われていたサハラ砂漠は気温の低下に伴って大気中の飽和水蒸気が減少したことで降雨が減ったために砂漠化した」ということ。つまり、低温化→飽和水蒸気減少=乾燥→降雨減少→砂漠化が、温暖化すると、温暖化→飽和水蒸気増加=湿潤→降雨増加→緑化となるわけだ。更に、大気中の二酸化炭素濃度が上がると植物の繁殖は大幅に拡大する。

温暖化については、そもそも二酸化炭素の増加→温暖化という因果関係が、実は温暖化→二酸化炭素の増加という関係ではないかと言われており、更に温暖化によって乾燥して砂漠化が進むと言われてきた。全ての因果関係と影響が逆転してしまうとしたら、IPCCmなんとお粗末なことだろう。