2010年5月7日金曜日

世界で二番ならやらない方が良い

昨夜の報道ステーションでテムザックの創業社長の高本氏が「去年の事業仕分けでスパコン事業に対して蓮紡議員が『何故世界で二番じゃダメなのか』というのを聞いた時に『この国は世界一を狙ってないんだ』と(残念に)思った。」ということを話していた。

あの言葉は蓮紡議員とその周囲が「分かってない」ことを如実に示した。問題は「スパコンで世界一になった後に日本の競争力強化に如何に利用するのか」ということと「もっと安くする方法はないのか」である。「二番でも良いのではないか」というのは世界で何が争われているかを理解していない。

大前研一が十年前に指摘したように、インターネットの普及によるコミュニケーション革命によって、全ての人が一番のものを見つけ出せるようになった。人が一番ではなく二番以下に手を出すのは、一番の存在を知らないからだ。一番の存在は今やブログやツイッターであっという間に拡がる。二番は一番にアクセス出来ない時の代替でしかない。

だから、世界は一番を争っている。一番が市場を独り占めする時代に二番では駄目なのかというのはセンスがない。それならやらない方がマシなのだ。

蓮紡議員があの場面で「日本は『コンクリートから人へ』の掛け声のもと、"ソフト"に投資を集中するからハードからは撤退する」とでも言えばそれは立派な見識だったろうと思う。しかし、彼女の言葉は「順位を決めないゆとり教育」と同じだ。ナンバーワンよりオンリーワンというが、オンリーワンは『一番』に他ならないと思うのだが。

2010年5月5日水曜日

誰も満足しない結果

普天間基地移設問題は鳩山首相が引っ掻き回した挙句、当初合意の名護市内と鹿児島県の徳之島に移設するという案を首相が持ち出した。

しかし、このアイディアは誰の入れ知恵かは分からないが、関係者の誰も満足しない最悪の結果をもたらすだろう。第一に日米両政府はキャンプシュワブ沿岸への移設を長い期間かけて合意形成してきたのに無駄になってしまった。アメリカにとっては二ヶ所に基地が分かれるのは不満が大きいだろう。日本政府は移設先の補償など、予算措置も含めて不満が募る。

鳩山首相の『県外』移設に煽られた沖縄県民は基地が残ることが不満だろう。更に、町を二分して争って一度は基地を受け入れ、鳩山政権の甘言に乗せられて受け入れ拒否を表明した名護市住民は、基地賛成派も反対派も強い不満を隠せないだろう。そして、鳩山首相の「最低でも県外移設」に巻き込まれた恰好の徳之島にとっては晴天の霹靂だろう。鳩山首相が徳之島に影響力を持つ引退した政治家を頼ったことも不満を助長した。

当の鳩山政権も不満だらけだ。非現実的な非武装を唱える社会党は政権離脱をかけてアメリカ軍の国外退去を主張していたから、これが鳩山政権の最大限の成果だとすると政権離脱をせざるを得ない。政権に恋い焦がれる福島党首の憤懣は大変なものだろう。

鳩山首相はGW中の沖縄訪問で国外移設どころか県外移設すら断念したという内容の発言をしたらしい。まぁ、徳之島移転を打ち出すよりは理にかない、妥当な結論だ。ただ、最後の足掻きか、桟橋方式での飛行場建設を言い出している。これでは地元建設業者は工事に参加出来ず(桟橋方式は技術的に地元業者には不可能)、地元経済への貢献も出来ないので、これで全ての関係者に不満が残る結果となった。

交渉では、全ての関係者が満足することが最良の結果だ(WIN−WIN)。しかし、それが望めない場合は一部の人に不利な結果とする次善の策を選択する。(WIN−LOSE)しかし、鳩山首相が選んだのは全ての人が不幸になるLOSE−LOSEの結果であった。この一点だけでも鳩山首相がリーダーの適性を欠いていると思うのだが。