2009年9月18日金曜日

僕が日本の労働組合が嫌いなワケ

鳩山首相が連合との会見を開いた。官房長官も労組出身で民主党は"労働党"に近い。社民党の代表は消費者担当大臣となったが、「消費者とは労働者」と労働問題にも口出しをしたいようだ。それに日経は警戒感を表す。

僕は労働組合は好きではない。そもそも、日本の労組は一部を除いて企業単位の組織なので、労働者一般のために働いているわけではないからだ。つまり、労働(者)組合というより会社員組合という方が正しい。

派遣労働者が問題になった時に、労組がワークシェアリングや積極的な時短によって雇用を確保しようとした形跡はない。それどころか、呑気に"春闘"をやってベアゼロに抗議をしていた。呆れるのはベアゼロでも賞与は満額であったということだ。ワークシェアリングも時短もせず、賞与を満額もらえば派遣労働者を雇い続ける余裕は企業からは失われる。

それでも、派遣労働者を止めて全員を社員にせよとも言う。だが、無理な話だし労組も望んではいまい。需要が限られる中で値下げ圧力は高いから、少ない需要に合わせて労働力を調整しないといけない。

いや、高くても良いモノがあれば売れるというが、良くて安いものがあるから高いモノは売れない。ユニクロが批判されるが、ユニクロがやらなければ他の企業がやるだけだ。馬鹿高い関税をかけなければより安いものが輸入されるのは防げない。

結局、自分たちの雇用は価値があろうとなかろうと守って、会社という村には余所者は入れないし、入れたとしても7人の侍と同じく用が済んだら出ていけと言うわけだ。日本にも職種別労組があって良いと思うし、それがプロフェッショナルを育む機関になって欲しい。

2009年9月17日木曜日

鎖に繋がれた鶴

日航にデルタ航空などの海外企業からの出資話がある。海外から見るとこの鶴は結構魅力的らしく、出資は二社が争っている。ただ、インフラを外資に支配されるのを警戒する人からは反対の声が。

反対は政界から流れてきて、亀井金融大臣などは日本の企業や銀行が支援しないと、と発言している。だが、日航はこのままでは決して黒字にはならない。日航は日本全国の空港と海外の多くの都市との間に路線を持っている。だが、実際には空席率の大きい路線は多数あり、損失を生んでいる。
日航は元々国有会社でもあり、政界の意向を受けやすい。政治家の地元への利益誘導の手段として建設された地方空港に採算度外視で運行している例もある。それを全廃しなければ決して黒字にはならない。
そんな会社を支援する企業や銀行などある訳がないではないか。どうしても国内で支援して欲しければ、不採算路線の廃止や減便、小型機への変更などを自由にさせれば良い。また、モラルが下がらない範囲でのパートタイムや契約、派遣などの多様な雇用形態も許さなければいけない。それがイヤなら国有化だ。

鳩山内閣への期待と不安

期待は長妻昭厚生労働大臣だ。今までは官僚批判に終始していたが、これからは官僚と共に批判に応えていかなくてはいけない。緻密な思考力に行動力と影響力を組み合わせて、官僚を動かしていって欲しい。年金問題で一点突破を図るのも良いが、労働規制の撤廃などこれまでタブーとされてきたことに着手せよ!

不安は何と言っても亀井大臣。郵政民営化を逆回しにするとして、どこまでやろうというのか?以前テレビで竹中平蔵氏と討論していたが、事実誤認が多く郵政ベッタリで不安を感じた。融資の返済猶予もおかしい。銀行は政府が支援出来るから、というが中小企業には政府補償による融資制度もある。そもそも、前提として景気が回復すれば今苦境に立たされている中小企業も利益が出る様になって返済出来るようになるというのが間違っている。話は逆で、役目を終えた企業や事業、産業が倒産や事業売却などを通して整理され、新しい成長産業や企業に人・物・金がシフトすることで景気が回復するのだ。返済猶予は産業構造改革をストップさせて、経済の血液である貨幣を滞留させて価値を下げる結果しか生まない。早晩、小泉内閣における田中真紀子の様に、鳩山首相も彼を罷免した方が良い。

2009年9月15日火曜日

日本人は「大きな政府」が良いと思っているのか?〜自民党議員の選択を予想する

民主党が大勝して二週間経過したが、まだ民主党政権は誕生していないという不思議な状況が続く。それも今週末までだが、この間に民主党が内紛で分裂したら面白かろうに…と考える僕は相当意地が悪い。

さて、民主党が所謂「大きな政府」を標榜して勝ったことで、日本人は左中間なんだと思う向きもある。ただ、同じポジションにいた自民党が大敗したことを考え合わせると、事はそう単純ではない。民主党のこども手当てや高速道路無料化が世論調査で思いの外支持されなかったのを見ると左中間だろうが何だろうが自民党を一回下野させようというのが有権者の選択だった訳だ。

自民党を止めてみるには民主党しかなかった訳で、だから社民党も国民新党も議席が伸びなかった。国民新党が郵政民営化反対を掲げて全く支持されなかったことを民主党は真剣に受け止めた方が良い。民主党も見直しを掲げていたが、郵政民営化自体に反対した訳ではない。民営化反対をした選挙では大敗を喫し、民営化反対を堅持する国民新党は議席を減らした。民意は「郵政民営化推進」なのだ。

そう。思ったよりも、日本人は「大きな政府」を望んでいない。多くの有権者は郵政問題を正確に把握しているし、高速道路にお金がかかるのを理解している。高速道路に憤慨したのは無料にならないことではなく、無駄遣いがあるからだ。

日比谷の「年越し派遣村」に入った派遣労働者は日比谷で年を越した人の2割だという。多くの派遣労働者は自分の力で未来を切り開いている。ワーキング・プアというが、残った時間を有意義に使うことを望む人の方が遥かに多いのだ。本当に国に助けて欲しいと思う人はどの程度なのか?

小泉首相が辞任して、安倍首相に交代した時には自民党の支持率は落ちてなかった。支持率が落ちたのは安倍首相が改革路線を修正したあたりからだ。次の福田首相は更に改革路線を修正する様に思われ、麻生首相に至っては「改革には本当は反対だった」などという始末。そう、自民党では改革は出来ないと有権者が思ったのが今回の惨敗につながった訳だ。

その点、民主党は「改革出来ないことが立証されていない」唯一の党である。改革の方向性は置いといて、一回くらい民主党に任せてみるか、というのが今回の選挙結果ということになる。

ここで民主党が民意を見誤って(その可能性は高い)改革路線、つまり小さな政府を否定し、自民党の次期党首が小さな政府を標榜したりすれば、来夏の参院選の結果は大きく変わることになる。

自民党の議員は過去の「大きな政府」をコンセプトにするのは諦めた方が良い。小泉ショックは自民党のコンセプトを様変わりさせた。「政治家が、官僚が国を正しく経営出来る」というコンセプトを。それが小泉改革の本質であった。

さあ、色づけは終わった。後はお気に入りの党に政治家は入りなさい。マニフェストなどというのはまだまだ後だ。

2009年9月14日月曜日

デフレスパイラルの原因

池田信夫氏が「<a href="http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/94d7da65e3eb27211bbc98a66c7b3663">ユニクロは日本を滅ぼすか</a>」という記事を投稿している。

ここで取り上げられている記事は電車の中吊り広告か何かで見て、中身を想像していたが、思った様に似非エコノミストの書いたものだった様だ。池田氏は経済学の理論に基づいて話を展開されているが、アパレルの流通現場から見ると何故ユニクロが正しいか歴然としている。

デパートや専門店の店頭に5万円のスーツがあるとすると、その仕入れ価格は1割の5千円程度である。これはアパレルに勤める人であれば誰もが知っている。アパレル企業はこのスーツを売ろうと仕入れるが、殆どの場合半分は売れ残る。売り切れるのことは滅多にない。これを「消化率」というが、消化率50%では売上に対する仕入れ率は20%となる。
さて、近年の消費者はバブルの頃の様になかなかものを買わない。そこで半分の消化率のうち値下げをして売るものが多くなる。仕入れ率は30%にもなる。さて、デパートなどは大体売上の4割くらいを取る。のこりの3割でアパレル企業の経費と利益が賄われる。これがユニクロ以前のアパレル企業のビジネスモデルだ(実際にはユニクロ以前にも価格破壊をするアパレル企業はあったが、ユニクロが大々的に成功した)。

ユニクロはアパレル流通のあらゆる無駄を削ぎ落とした。まずは安く生産出来るところで生産した。だがアパレルの原料価格や生産原価はたかが知れている。実際に価格にインパクトがあったのは「売り切る」ということと、デパートなどのマージンを取り去るということだ。直営店で売り切れば、その分だけ安くできる。6〜7割がこれで値下げ出来る。

そして、値下げは利益を消費者に「返して」いることになるのだから消費者は他の消費が出来るようになるということだ。アパレル流通においては"返品自由"といった商習慣が根強く、決して消費者の為の流通構造にはなっていない。それを見誤るとユニクロの「消費者のための努力」を貶めるような話になる。

漫然と日々を過ごし利益を得ているものと、血の出るような努力の末に(ユニクロがあれだけの物量を生産し、動かし、店舗で販売するのは想像を絶する仕事量がある。)消費者のためのビジネスをしている人を、良く比べて欲しいものだ。