大河内先生は母の恩師で、子供の頃から良く知っていた。研究室に遊びに行くと実験器具などを見せてくれる優しさ方であった。
大河内先生は九州大学病院で主に血液に関連した病気の研究をされていて、母もその研究室で働いていた。血友病の治療にも関わっていて、厚労省の研究会でエイズ感染リスクの高い治療薬の使用に反対して故安部教授と激論を交わしたという。感染が発覚した後、国会で自身がリスクを指摘し厚労省も認識していたと証言した。
だが、自身がリスクを明確に認識していながら、薬害の拡大を防げなかったことに責任を感じていたと母から伝え聞いた。日本の学会や官界では東大を頂点とした序列があり、国立とはいえ地方大学の教授があの決定を覆すことは無理だっただろうが、他に事態を避けうる道はあったと責任を感じていたのだろう。
先生の研究テーマの一つで母も関わっていたものにC型肝炎の輸血による感染があった。厚労省の感染者リストを隠しの騒動を先生はどう思っただろうか。正しい判断が序列によって採用されないという悪弊は未だに残っている。
御冥福をお祈りします。
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