2008年7月27日日曜日

Appleが世界一有名な携帯電話メーカーになった理由はジョブスのクビを一度切ったから

iPhoneが日本で発売され、売れ行きはまだしも、Appleが世界一有名な携帯電話メーカーになったのは間違いないのではないだろうか。MacAirの売れ行きが好調でパソコンメーカーとしての存在感は相変わらずだ。
Appleは一度パソコンメーカーとしては失敗を経験している。業績が低迷し、創業者ジョブスのクビを切ることまでしなくてはいけなかった。
今、『キーストーン戦略』を読んでいるが、この中ではAppleが如何に愚かな戦略によって失敗したかが書いてある。
昔のMacはOSもアプリケーションも独自で値段も高かった。しかし、Appleユーザーは少なくデータ交換などを他のコンピューターとやるのは面倒だった。では、一度失敗したのにどうやって復活したのか。『キーストーン戦略』にそのヒントを見つけた。
Appleの(そして、ジョブスの)誤謬はあまりにもビジネスエコシステムを支配し利益を収奪しようとしたことだ。つまり、キーストーン戦略でいう「領主」としての振る舞いがMacのエコシステム自体を破壊しかけた。
それが変わったのは、皮肉にもジョブスのクビが一度切られたことと関係がある。Appleに復帰したジョブスはクビを切られた後に別の会社で開発したOSを持ち込み、新しいMacOSとした。このOSはUNIXベースのものでMac以外のPCでも動いた。復帰したジョブスは新しいMacOSでよりオープンな規格に移行せざるを得なかった。
時代はインターネットが安価に利用出来るようになり、様々なネットサービスが隆盛を究めていた。ネットサービスの開発者達はWindowsを使ってネットサービスを開発していたが、ネットサーバーとしてマイナーなWindowsでは開発したネットサービスをテストすることも出来ない。
そこに復活したMacは基本的にはUNIXだった。多くのネットサービス開発者はパソコンをMacに切り替え、Macは先進的なシステム開発者のデフォルトの端末になった。
ネットサービスの開発者は大抵ネットで情報発信を行う。かくしてMacの話題はネット上に溢れ、Macを使えない一般的なパソコンユーザーは羨望の眼差しを送り、Macはブランドとして復活した。
この本業での復活劇がなければ、それに続くiPodでの成功もなかったし、iPhoneもなかっただろう。

不思議な巡り合わせが世の中にはあるものだ。

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