2008年4月25日金曜日

ものものしく「聖火護送」

ものものしい警備の中、聖火が日本に到着して長野に移送された。長野の聖火リレーは観衆をシャットアウトして行われるそうだ。なんのための聖火リレーなの か。ニュースで長野の人が「これじゃ聖火護送」と嘆いているという話があった。話が上手すぎて、記者の創造かとも思うが聖火リレーが本来の姿を見失ったこ とを簡潔に表現している。

聖火は元々ギリシャ神話のプロメテウスに由来する。プロメテウスが神々の世界から火を盗み出し人間に与えたとい う説話である。プロメテウスは「先見の明持つ者・熟慮する者」という意味だそうだ。だから、プロメテウスが人間に与えた火は「叡智」の象徴とも言える。オ リンピックの採火式では太陽の反射熱で火を起こすが、これは「天界からの火」を意識してのことだろう。

叡智の象徴である聖火をオリンピッ クのリレー行事にしたのはベルリンオリンピックだ。ナチス政権下のドイツで行われた聖火リレーがその後のドイツの周辺国への侵略を優位に運ばせたという話 がある。リレーのための道路整備や事前調査がドイツの南下戦略立案のための情報となったというのだ。

今回の聖火リレーをこの動きになぞらえる人もいる。しかし、それはうがちすぎというものだろう。綿密な計画の上で隙無く行われた第一回の聖火リレーは几帳面なドイツ人の面目躍如というところだ。今回の聖火リレーは変更に次ぐ変更。夜郎自大ないい加減さが見て取れる。

事 前準備が出来ていないから、少しのことでも過剰に反応してしまい、大護送団による聖火リレーという前代未聞の話になってしまったのだ。今回の事件によって 聖火リレーは「ばかばかしい茶番」に成り下がってしまった。商業主義によってオリンピックの精神を破壊したのがアメリカであるなら、中国はオリンピックの 尊厳を破壊することとなるだろう。

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