2008年7月7日月曜日

自民党と民主党の違い

独自調査で分かった「政界再編予想図」

という記事が大変興味深いものだったので感想をまとめておく。

所謂、「二大政党」という枠組みで考えた場合、自民党が今のままでは二大政党にはなりえないということが見えていると思う。「小さな政府×規制緩和」と 「大きな政府×格差是正」という政策上の対立は自民党の中に出来ている。つまり、二大政党を形成する政策論争上の論点が自民党内部にあり、自民党VS民主 党という対立構図が成立していないということだ。これこそが非自民政党が何度トライしても政権を奪取できなかった理由ではないだろうか。日本人は明確な政 策上の違いがある政党のどちらかを選ぶより、その両方を包含している政党が時宜にあわせて主流を交代することによって実質的に政権交代を果たすという形を 望んでいるように思う。

民主党の「小さな政府×格差是正」の弱さが見えてくる。格差是正はいうなれば「富の再分配」である。その為には、大きな行政権力を行使して税金の形で富を 徴収しなければいけない。そして、その後に再分配を行って富の偏在を調整することになる。徴税の範囲や再分配の規模を考えると、この行政を「小さな政府」 で実現できるのか?という点に疑問を感じる。格差是正には市場経済に対する相当程度の制限が加えられるということでもある。それを実現するために行政府に どれほどのリソースが必要になるだろうか。

自民党に二つの考え方の潮流があり、時代によって自民党が内部で”政権交代”を実現してきたというのは、実に「日本的」なやり方だと思う。日本は古来より 国家主権の体現者は”天皇”から動いていない。実質的な政府運営は時代により藤原氏、平氏、源氏、足利氏、信長、秀吉、徳川氏と変化していったが、対外的 には1000年以上にわたって主権者が変わっていない。民主国家となって国民に主権が移った後もそれは変わっていないのではないかと思う。自民党という器 に複数の理念が詰まっていて、それが時代の要請に従って主導するものを代える。そう考えると民主党は考え方が偏っていること自体が選ばれない理由なのかも しれない。

このことは「良し悪し」なのではなく、そういう傾向が日本国民にあるのだということだ。その国民性に合わせて自民党は多様な意見を吸収する政党になって いったのだろう。では民主党は一体どうあるべきだろうか?社会党のような「ガス抜き」効果だけの政党であれば、見向きもされなくなる。民主党が多様な意見 を吸収すると自民党との差別化が出来なくなる。しかし、逆に言えば”風”の吹き様によって政権を奪取できるということでもある。小沢代表が自民党と大連立 をしようとしたのはこの点にあるのかもしれない。自らの政党をも生贄として、二大政党を実現させるべく二つの理念を先鋭化させようとしたのかもしれない。

今日からサミットが始まる。福田首相はこのサミットで存在感を示して支持率を回復させたいと思っているかもしれない。世界のメディアが日本の片田舎の湖畔 に注意を向けている。何が決まるということはないが、G8を含め多くの国の公式非公式の外交が展開されるなか、日本の曖昧な立ち位置はどの様に評価される だろうか?

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