2011年2月13日日曜日

エジプト ムバラク大統領失脚の捉え方

エジプトのムバラク大統領が9月の任期まで辞任しないという会見から一夜にして逃げる様に辞任した。民主化が成就したかの様な報道や中東や北アフリカ地域の独裁あるいはイスラム政権への影響などが取り沙汰されている。しかし、この政変にそういうポジティブな評価を単純に下すのはどうだろうか?

「極東ブログ」で指摘されているように、ムバラク大統領が全権を軍に委譲したことは、軍事クーデターであり、その軍と繋がりの深いアメリカが今回の政変を支持したのはエジプトの政治的態度が従来からは変わらないという確信があってこそだろう。イランが「民衆活動」としてのムバラク辞任を支持したのはアメリカから主導権を奪うためで、軍と反ムバラク民衆との離反を狙ってのことだろう。しかし、余程のことがない限りこの政変がイスラム革命に繋がることはないだろう。

軍の管理下におけるデモとそのデモを背景にムバラク独裁を軍が転覆したというのが今の状態であるなら、これが本当の民主化に繋がる保証はない。つまり、今回の政変が示したのは相変わらず中東や北アフリカでは軍が最強の政治的プレーヤーであり、これから幾多の民主化プロセスが踏まれるが、そう簡単な話ではあるまいということだ。

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