2007年8月17日金曜日

三越・伊勢丹 来春に統合 持ち株会社で大筋合意

日経新聞 8月17日 朝刊 一面
「三越・伊勢丹 来春に統合 持ち株会社で大筋合意」

業務提携をして経営統合の道を模索していた三越と伊勢丹が来春の持ち株会社以降で合意した。持ち株会社の会長に伊勢丹の武藤社長が、社長には三越の石塚社長が就くという。業界の四位と五位の合併により業界首位の座を得ることとなる。

業界四位と五位の連合というと弱者連合に一見見える。しかし、三越・伊勢丹より上位の三社のうち二社は経営統合によって規模を拡大したばかりのJ・フロントリテーリングとミレニアムリテーリングだ。単体で三越より上位にいたのは高島屋だけ。だから実質的に業界二位と三位の連合ということになる。

三越と伊勢丹は顧客層が重複せず、補完効果が高いという。逆に営業上のシナジーは期待出来ない。なので狙いは調達やオペレーション管理などのバックオフィス効率化が主眼となる。伊勢丹は業界の中でもバックオフィスの機能が進んでいて効率的だ。

三越は営業利益が極端に小さく、オペレーションの効率化が急務だ。三越側がこの統合によって得るものは大きい。伊勢丹は流行ファッションには強いが、百貨店の総合力では三越に譲る。

三越の調達ノウハウを取り込んで品揃えを充実させることも出来る。だが、流通業界の今後の10年を考えると統合の意味は違ってくる。

三越と伊勢丹というブランドを傘下にしたマルチブランドによる市場展開や投資のコントロールなどが重要になってくる。百貨店業界の売上は消費者人口の減少と共に縮小を続けている。経営統合はその結果だ。業界内でおきる合併の数や規模はその業界の将来を占う。そごう破綻から始まった業界再編はこの統合でピークを迎えることになるだろう。

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