2008年4月15日火曜日

需要減退、負の連鎖が止まらない

3月の街角景気、景況感の低迷続く

景況感とは企業や個人の景気に対する感じ方を示すものだ。3月の景況感が悪いと言うが、ここ数年は景況感はずっと低迷していた。イザナミ景気を超えるといわれた景気の時も街角はそんなに好景気を感じていなかった。

景況感が悪いと、それは購買意欲の減退に直結する。すると小売は振るわず、それが製造業やサービス業に波及する。今年の不況は「官製不況」と言われる。その原因は三つあり、一つは改正建築基準法の実施における混乱だ。
いわゆる姉歯物件に端を発した耐震強度偽装問題は行政による建築確認不足に一因があると指摘され、建築基準法の基準強化につながった。問題は新基準による 建築確認を行う体制が行政側で整っていないことだ。そのため施行前から建築確認の遅れによる着工不能物件が続出するだろうと予測されていて、実際に着工で きずにいる物件は多くある。
建物の着工が出来ないということの影響は大きい。一つは建築業界の雇用が一時的になくなってしまうということだ。建物の建築は多くの専門業者が短期的なプ ロジェクトを組んで携わる。複雑な下請け構造に批判はあるが、専門家を必要な期間組織して不要になれば開放して他の建築現場での仕事の従事できるようにす るという点で「専門家による事業モデル」はどうしても複雑な契約構造を持たざるを得ない。
しかし、これら専門家集団は適量の仕事が発生している間は良いが専門家だけに仕事がなくなると他の仕事に就くということが出来ない。つまり、建設現場が無ければ仕事を失うという状態になるのだ。
彼らの雇用が一時的に失われたというだけではなく、彼らの消費も同時に失われる。専門家集団は大抵の場合高給取りなので可処分所得が多い。そのため消費に 回る金額が大きい。それが失われるということは一般消費財の消費にも影を落とす。更に、建築後の設備投資も遅れることを考えると影響は計り知れない。今年 の景気はこの一点だけをとっても行政の責任といわざるを得ない。
二つ目は道路特定財源に関わる暫定税率問題だ。まず、期限切れが迫っていることが明らかでありながら無為に半年もの時間を過ごしてしまった政府与党は批判 されてしかるべきだろう。と同時に、暫定税率廃止のみを訴えて代案を出さずに抵抗した民主党は参議院与党の責任を十二分に果たしたとは言えない。現実的に 地方財政における道路特定財源の比重は大きい。また、特筆すべき産業が無い地方にとって道路整備に関わる”建築産業”は非常に大きな地位を占める。
つまり、道路財源は地方経済を活性化するために恒常的に打たれつづけた「麻薬」のようなものである。そのことが地方の産業をなお一層痛め低迷させてしまっ たのは歴代政府の責任ではあるが、それを原理原則のみを言い立てて撤廃すれば禁断症状による地方財政の瓦解はひどいものとなるだろう。一定の移行期間や地 方それぞれの殖産政策と平行して特定財源撤廃を言うべきであったのが、単なる原則論だけとなってしまい政治の創造性というのは一切発揮されなかった。
最後は日銀総裁人事問題だ。党首討論で泣き言を言う福田総理は情けない限りだが、いじめっ子よろしく財務省出身というだけで不同意を続けた民主党の大人気なさには呆れた。小沢代表は意気軒昂だったが、NHKの世論調査では民主党の支持率の低下幅は自民党を大幅に上回った。

結局、この半年の政治の混乱につぐ混乱と決断の遅さによって、当初は関係ないと決め込んでいた経済状況にまで影響が出始めたというところなのだろう。早いうちにすっきりと物事が決まる政治状況に復帰して欲しいと切に願う。

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