2007年6月28日木曜日

多神教と一神教

久しぶりに田中芳樹の「アルスラーン戦記」を読んだ。昔からだが、田中氏は教条主義的な宗教が嫌いらしい。特に一神教はあまり快く思ってないらしく、この物語の中でもキリスト教をモデルにしたと思われる一神教を信仰する国を、他の文化を許容しない野蛮な国として描いている。

一神教は唯一神を規定するので絶対価値が唱えられ易く、政治的に利用されやすい。逆に多神教は複数の同等な価値を内包するので政治的に利用しづらい。世界を見回してみても教条主義的な争いは果てしない悲惨な戦争を終わらせることが出来ない。他者の価値観を認められないから徹底的に相手を滅ぼすことになる。

だが、一神教は宗教の形態としては特殊だ。世界中見回してみても一つしかない。ユダヤ教だ。キリスト教とイスラム教はユダヤ教からの派生宗教なので、実質的に一神教は一つだけだと言える。そんな少数派のイデオロギーに世界が振り回されることはないだろう。

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