2007年7月13日金曜日

黒船なんて怖くない

黒船なんて怖くない
今こそ求められる「開国」の心構え


「うちの会社は外資に狙われるようなグローバルな会社じゃないから関係ない」なんてことはない。そんな気構えだと気がついたときには追い詰められてしまう かもしれない。「公開企業じゃないから大丈夫」と言っても負債が嵩んでメインバンクから返済を迫られたら選択肢として外資導入というのが浮上してこないと は限らない。

外資が日本企業を買収するというのはどういう場合だろう。合併には大きく分けて二つのパターンがあると思う。一つは水平合併。同業他社との合併。例えばユ ニクロが海外のブランドを買収するなどだ。この場合は、製品の製造ラインやR&Dコスト、事業の管理コスト(ITとか管理部門)、プロモーション コストなどを合併によって売上高対比で圧縮することが出来る。原料調達も一括調達をすることでコストダウンを図れるだろう。
もう一つは垂直合併。その企業が調達コストや販路の安定化を図るために、サプライヤーや顧客を買収するというもの。元々系列だった企業同士が合併することが多いと思う。

外国資本の企業買収も基本的には同じで、ファンドが買収をする場合も最終的には同業他社またはその企業の系列への売却が前提となっている。再生ファンドなどでは収益改善をして自立させることによってリターンを得るというのもあるが、この際それは置いといて。。。

そう考えてみた場合、ブルドックソースの買収防衛策は市場の視点から見た場合どうだったのだろう。
ブルドックソースの業績を見てみると、
決算期 17年3月期 18年3月期 19年3月期
売上高 13,343 14,705 16,759
営業利益 885 849 718
経常利益 1,249 1,215 972
キャッシュ 719 1,499 1,271
となっており、売上高は伸びているものの利益は若干下がっていっている。
売上は期初の予想に対して、それを達成したのは18年3月期だけだ。

株主の立場からすれば、決してブルドックソースの経営陣がうまくやっているという状態ではない。株価はTOB騒ぎがあるまではずっと332~334円を 行ったり来たり。しかし、日本のソース市場は安定していてブルドックソースはイカリソースを買収してからはシェア30%を誇っている。スティールパート ナー側からしてみると、2002年から投資をしている相手が2005年のイカリソース買収以降、目立った業績を上げられていないことに不満を持ったという ことなのだろう。

ソース市場は数百億の市場に97社がひしめいていて、決して効率が良いとは言えない。スティールパートナーとしては、より積極的なM&A(イカリ ソースの様な救済合併ではなく)、流通業者向けのPBソース販売や業務用ニッチの開拓などを視野に入れていたのかもしれない。スティールは保有はしても経 営には参加しないという立場を言っていたが、資本政策としては自己資本比率を下げる(負債の積み増し)などには口出しをするつもりだと思う。自己資本と純 利益の範囲内での投資では企業価値が上がらないと思ったのだろう。

企業が存続するというのは一定の成長を義務付けられる。成長のエンジンは顧客ニーズにマッチした商品の開発だとしても、そのガソリンは投資資金だ。その資 金を資本と負債を程よくバランスさせて調達していかないといけないが、投資家から見たときのブルドックソースの負債比率は低すぎるという判断もあり得る。

しかし、ブルドックソースの多くの株主は積極的な投資で企業規模を拡大させるよりも、慣れ親しんだソースを安定供給して欲しいと思っているのだろう(少な くとも株主総会の防衛策への80%の賛成はそれを示唆している)。すると、ブルドックソースが株主を信用するとすれば、防衛策を発動する必要はないという ことではないだろうか?と、すればスティールパートナーズ恐れるに足らず。泰然として構えていれば良いということにならないだろうか。

結論としては「最も有効な買収防衛策は株主と顧客に支持される経営を行う」ということなのだと思う。

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