2007年8月8日水曜日

民主党の法案提出

日経新聞の3面に民主党が提出を予定しているという法案がまとめられていたので一つ一つ考えてみた。

まず、マニュフェストに明記されているものとして「年金保険料流用禁止法案」「政治資金規正法改正案」「天下り根絶法案」「障害者自立支援法改正案」の4つがある。これは文句なしだ。内容をみてみないと分からないが名称から示唆されるところに問題はない。「年金保険料〜」などは、こんな法律がなくても流用しないというのは官僚のモラルの問題だとも思うが…。

小沢一郎が主導しているものとして「薬害肝炎対策法案」「農家への戸別所得補償制度」「イラク特措法廃止法案」の3つがある。このうち「農家への〜」は民主党躍進の原動力でもある。小さな農家でも「所得」を補償するというのは多いに問題だと思う。

日本の農業が競争力を失ったのは保護政策が原因の一つ。互いに競争しあって生産性や付加価値を高めるべきところが、保護政策のために農業の停滞を招いた。それを助長するこの法案は日本の食糧自給率を更に押し下げる結果になるのではないだろうか?

野党との協調を重視する「郵政民営化見直し法案」「最低賃金法案」には呆れるばかりだ。まず、「郵政民営化〜」はこれほど巨大な事業を国営する必要は全くない。過疎地域への郵便がなくなり利用者の利便性が損なわれるという話があるが、そうなれば代替するサービスが出てくるものだ。実際、民間の輸送事業者もどれだけ遠くてもちゃんと配達する。料金は距離と大きさや重さという基準によって決まるし、過疎という理由で運ばれないということは起きない。金融だってそうだ。何がしかの代替サービスが出てくるし、それで採算が合わなければ介護サービスとの合わせ技や他の付加サービスが出てくるだけだ。

電電公社の民営化の時も同じような議論や反対があったが、民営化によってNTTは多くの関連会社を輩出し業界の成長と雇用の創出に一役買うこととなった。郵政民営化にも同じ効果を期待して良いだろうし、民営化を見直す必要は一切ない。

最低賃金の引き上げはどうだろう?一番イヤなのは格差が雰囲気だけの話で議論されている現状だ。統計的な事実や理論的な裏付けが感じられない。日本の産業構造は変化を加速している。反復・再生産型の労働は自動化されるか、より安い労働力を求めて海外に移転している。日本国内で必要とされるのは、再現性の低い創造性の高い労働力だ。それを無理に規制すると雇用が尚更海外に流出するかもしれない。

勿論、高い付加価値のある労働者が不当に安く使役されていると問題だろうが、その時は個人が転職を考えるだろう。能力開発は基本的には個人の責任だが、経済的な支援はそこに集中させるべきだと思う。優秀な企業は社員の能力開発が自分たちの付加価値の源泉であることを知っているので、教育投資を惜しまない。だから、課題は伸び悩んでいる中小企業だ。

民主党が政権を担いたいと思うのであれば、農家支援ではなく中小企業支援に力を入れた方が魅力的だと思う。労働組合に媚びを売ったのかもしれないが、日本には労働組合なんかない中小企業に勤めている人の方が圧倒的に多いのだから。

0 件のコメント: