2008年4月3日木曜日

私的複製課金の違和感

日経新聞 4月3日朝刊一面
「私的複製課金見直し」

ネットなどでダウンロードした著作物の私的複製に対する課金制度を見直すという指針が出たらしい。ダウンロード時に複製回数を選択し、購入するのだとか。今はコピー制限がかかっていることがほとんどだが、コピーが出来るようにした上で、コピー毎に課金しようということらしい。これまではコピーを書き込む媒体に課金されていたが(未録音のMDなど)ネットでは課金する媒体が特定出来ないための措置だそうだ。
はて?媒体への課金もそうだが、そもそも課金すること自体に疑問がある。"私的"複製はあくまで著作物のディストリビューションの形態を変える行為だ。本来であれば販売元が再生端末ごとのディストリビューションパッケージを流通させればすむところを、再生端末の種類が多様でそれぞれのパッケージを流通させられないから、代表的なパッケージのみを流通させて、再生端末ごとのリパッケージを消費者に負担して貰っているというのが現状だ。
つまり、著作物がコピー可能な状態で流通させられるのは、ディストリビューションパッケージを増やすことで膨らむコストを抑えるためであって、そもそも流通上の制約の問題なのだ。だから、著作権者は著作物を広範に流通させるためのコストとしてコピー可能な状態を受け入れるか、流通を諦めるべきだろう。更に、今考えられている方法はダウンロードした端末の買い替えについて考えていない。端末の買い替えに伴ってデータを新しい端末に移し替えるのは"私的複製"にあたるのか?レコードプレイヤーを買い替えたからコピーなんて話はないだろう。

結論としては、コピー制限をかけること自体がビジネス上の新たな制約を生み、不便になるから止めた方が良い。著作物の複製を許した上で、関連ビジネスを広げた方が意味がある。音楽ならコンサート、映画なら関連グッズやイベントなど広がりを持った方が解決するだろう。

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