2009年6月23日火曜日

民主党が勝っても郵政民営化は引き返せない

『民主党が勝ったら、郵便事業は…? 「民営化見直し」は"悪手"の恐れ』
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090617/197893/?bvr

民主党の鳩山代表は政権をとったら真っ先に郵政民営化の見直しを行うとアピールしている。郵政組織票を狙ったリップサービスだ。他にも農家の個別補償を行うなど民主党の公約には既得権益を守護するという姿勢が明白だ。数年前には、自民党=大きな政府
VS 民主党=小さな政府という図式だったように思うが、いつの間に逆転してしまったのか。小泉元首相の仕掛けた郵政選挙でこの図式の逆転が起きた。それまで規制維持、大きな政府推進であった自民党は突如として規制緩和、民力活用に一気に方向転換した。小泉首相は郵政民営化反対派の自民党議員の公認を許さず、対抗候補を擁立してまで規制改革を強行した。その結果、自民党の政策の方向性は小さな政府を指向するものに変容した。

従来小さな政府路線を進めていた民主党は対抗上郵政民営化反対に回らずを得ず、その結果規制維持、既存権益保護の政策を打ち出さざるを得なくなった。つまり、自民党と民主党の政策の逆転を演出したのは小泉首相であると言える。民主党にも旧社会党や社民党など保護主義的な勢力があり、大きな政府を指向する勢力があったこともこの事態を招いた原因の一つだった。そう、民主党が政権をとった場合には小泉行政=規制緩和、民力活用、小さな政府を否定せざるを得ない。来るべき?鳩山行政は規制維持、行政主導、大きな政府となってしまいかねない。

それが郵政民営化見直しに顕れるとすると、この問題は様々な点で将来を占う。仮に、鳩山政権が郵政民営化に伴って郵政民営化関連法を停止する法案を提出し可決されたとすると、ゆうちょ銀行とかんぽ生命が上場されなくなってしまう。郵政民営化の肝はこの二社を民間に開放して、巨額の貯金や保険料を金融市場に流れ込ませようという点にある。200兆円とも300兆円とも言われるお金が金融市場になだれ込めば企業活動の活性化に与える影響は計り知れない。

それに比べると、失礼ながら郵便局の民営化の見直しというのは小さな話しだ。この記事の筆者が言うように、郵便事業は物流視点で言えば「共同配送」専業ビジネスなのだが、民間企業であるヤマト運輸や佐川急便が全国津々浦々に配達をするように、民営化された郵便事業が全国に張り巡らした配送網を切り捨てるなどは自社の競争力を捨てることになるので絶対にやらない。民営化反対派は国民に不安があるという。マスコミは街角でインタビューなんかをしているが、編集にバイアスがかかっているので真実は映していない。

官僚が改革に抵抗する方法はサボタージュとリークと自爆テロなのだそうだ。日本郵政社員も官僚の流れを汲む元公務員。最近の郵便不祥事は民営化を担う民間出身の社長を追い落とすための自爆テロなのだと思う。かんぽの宿問題も郵政社員によるリークで、リーク情報にバイアスをかけて民主党に流したので民主党が飛びついたというところなのだろう。

自民党であれ、民主党であれ、郵政民営化の流れは止められないし止めてもいけない。止めれば郵政社員と郵政官僚は溜飲を下げようが、国民に良いことは一つもない。赤字は税金で補填され、折角の国民の資産である貯金や保険料は訳の分からないハコモノに姿を変える。制度疲労に陥った郵政はいずれにしても民営化するくらいのドラスティックな転換が必要なのだ。

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