2009年8月11日火曜日

原則を考える

「戦闘は戦術に依存し、
戦術は戦略に依存し、
戦略は外交に依存し、
外交は政治に依存し、
政治は経済に依存する」

逆に辿ると、

「経済を理解すると政治が分かり、
政治を理解すると外交が分かり、
外交を理解すると戦略が分かり、
戦略を理解すると戦術が分かり、
戦術を理解すると戦闘が分かる」

ということになる。

残念ながら最初のとっかかりである経済を理解しようという政治家はなかなかいないようだ。経済は更に、

「ミクロ経済
→マクロ経済
→マーケティング戦略
→マーケティング要素の戦術
→日々のビジネス活動」

とつながっている。荒っぽく言えば全ての人は「日々のビジネス活動」から「戦闘」までのあいだのどれかに関わっている。端っこの「日々のビジネス活動/戦闘」に関わっている人が一番多くて、「ミクロ経済/政治」に関わっている人が一番少ない。だが、「日々のビジネス活動/戦闘」にだけ関わっている人が「マーケティング要素の戦術/戦術」を理解することで勝率は上がる。

だから、個人としては自分の所属する組織の戦術を理解することが必要である。特に戦術はその組織の"型"として確立している場合があり、それを理解することで組織の一員になることが出来る様になる。

この型を作ることが出来る人は起業家精神に溢れている人で、思索の人というよりは"実践の人"で、試行錯誤によって型を作っていく。Googleの二人の創業者はこれにあたる。一方でGoogleのCEOは戦略を考える"思索の人"で企業戦略を担っている。日本の例では本田宗一郎は実践の人であり組織行動の型を作ったが藤沢は"思索の人"であり創業期の企業活動を牽引した。そう考えると戦略家と戦術家は上下関係というより補完関係という方が正しい。

型と資源を組み合わせて企業活動を決定するのが戦略家となるが、一方ではマクロ・ミクロの経済環境と適合することが出来なければ勝てる戦略は築けない。マクロ経済は金融であったり通商であったりという機能を民間企業が担っている。民間企業でないと国境を越えることが出来ない。もちろん政府のオーソライズは必要だが、政府は国境を越えられない。だが、オーソリティは国内経済環境に依存して変化するため、ミクロ経済を理解することがマクロな経済活動には不可欠だ。

政党のマニフェストは経済に依拠すべきと思うが、政治環境に比べると圧倒的に沢山のプレイヤーが関わるのだから経済は変動=リスクが高い。だから、マニフェストは大まかな方針と課題を解決する姿勢位しか書けない。前提を仮定して、課題解決の解法を例示することは出来るが、政策を事前に"変えられないもの"として約束するのは政治選択の硬直化を招き脆弱な政権にならざるを得ない。その点で、小泉純一郎は先の衆院選を「郵政民営化」という例示によって勝ち抜き、その姿勢を敷衍することでその他の政策を実行していった。

小泉総理は財界人や経済学者のプレーンの意見を取り入れ政策を決定していった。このことが批判の的となるが、政治が、特に国内政治が経済に依存する以上それは当然である。しかし、小泉以降で経済を理解し政策決定をしていこうという政治家は出てきていない。

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