2009年7月21日火曜日

価値観で投票する

混迷を極めた国会が解散した。正確には衆議院が解散した。「政権交代」とか、新党旗揚げとか、色々取り沙汰されている。選挙公示までの1ヶ月は政治評論家とか、選挙専門家とかがメディアで活躍しそうだ。

さて、自民党では「解党的」出直し選挙と言っているそうだ。思い出せば十数年前、新党ブームに押されて自民党が野党に転落した時に、少なくとも2年くらい野党であったとしたら、非自民党勢力の与党精神の醸成など二大政党への素地が形成されたことだろう。結果的に非自民党勢力の混乱に自民党が漬け込んで復活することとなった。

この頃からしきりに「政策」を戦わせるという言い方が蔓延した。二大政党が基本的な政策を訴えて、有権者に選択して貰うというのだ。所謂マニフェスト選挙といったもの。この動きに違和感をずっと抱えていた。

違和感の一つはマニフェストなどと膨大な情報を有権者が正確に理解し意思を示すという綺麗事加減だ。確かにマニフェストを理解し投票するのは国民の義務という主張は成り立つ。だが、投票自体は義務であっても、その依ってたつところは有権者の自由ではなかろうか。マニフェスト以外にも有権者の判断基準は多様で良かろう。

もう一つの違和感は、我々は何のためにどういう人を選ぼうというのだろうか?ということだ。国会議員のことを「代議士」という。「代理で議論をする人(士)」ということだ。つまり、自分の代理を選んでいるわけだ。

自分に成り代わって国政を議論する人を選ぶということは、決して政策を立案したり実行する人を選ぶというのではない。官僚や民間が提案するアイデアを議論し、有権者の判断を法案に反映させるのが代議士の仕事ではないか。それなのにマニフェストには具体的な法案や政策が盛り込まれていて、必ずしも私の代表を選ぶために必要な政治哲学とか理念が書かれていない。つまり、価値観が分からない相手を自分の分身として選ぶのは無理があると思うのだ。

衆議院選挙の候補者はマニフェストとか具体的な政策にあまり言及せずに、もっと価値観をさらけ出して欲しい。自分の理想とする未来とか、好きなもの嫌いなもの。信条や情熱といったものを教えて欲しいと思う。

0 件のコメント: