2007年3月20日火曜日

経営の中心としてのIT

ITが経営の中心となったという話しは随分と叫ばれている。僕もそう思う。ビジネスが何によって成り立っているのかということを考えてみれば、それは良く分かる。よく言われるのが「人、物、金」。しかし、これに「情報」が加わり、経営の要素は4つになった。その「情報」を管理するのが「IT」だ。

CIOの役割は、トップマネジメントを変えること

前三重県知事の北川氏の記事だ。

 私が1995年に三重県知事に就任した際、県職員に対して「今までの中央集権体制から地方分権の考え方に変えてほしい」とお願いしました。その前提には、圧倒的な地方分権時代、そして情報化社会を必ず迎えるということがありました。その時代を前に、それにかなったビジネスプロセスを構築しなければならなのです。

官公庁では財政課や総務課という部署が全体の予算を管理して、各部署は与えられた予算の中でそれを消化するという構造になっている。年度末に訳の分からない道路工事が始まる理由だ。しかし、これは官公庁だけとは限らない。民間企業でも年度末に「予算消化」と称して何かするということは良くある。僕は管理職をやったとき、経費予算をきりつめて余らせたことがある。そうすると、上司から叱責された。予算を消化しないと、次の予算が確保されないからというのだ。

しかし、ビジネスにおいて、次の一年間の予算をたてるということにあまり意味は無い。事業環境は3ヶ月で簡単に変わっていく。当初は資金を投資する必要がないと思っていたドメインが事業環境の変化により、次の四半期に投資をする必要が出てくるというのは往々にしてある。今では四半期ごとに計画や予算を見直す企業も増えてきたが、極端なところで毎週見直しをしているほどだ。

このことは大きな変化だ。これまで1年間という単位で動いていたビジネスサイクルを3ヶ月、1ヶ月、1週間と変えないといけないのだ。当然、それに合わせてビジネスプロセスも全て変えないといけない。そして、プロセスを記録し、管理するITも変えないといけないのだ。

だが、良く聞くのは「IT部門が対応してくれないからうちでは出来ない」という声だ。これはスタッフ部門であるIT部門とライン部門である事業部門の間での情報共有がうまくいっていないということだ。そこで、こういう意見が出てくる。

IT部門の解体を考える

 「企業はIT部門を解体するべきだ。一度、経営企画や現場に再配置してみてはどうだろうか」。

なるほど。以前、60歳になるIT部門の責任者と話をしたことがある。「IT部門がはじめて発足したとき、当然企業ではコンピュータエンジニアなどはいなくて、事業部門のエースを引き抜いて立ち上げたものだ。だから、昔のIT部門にはビジネスプロセスを知悉している人間が大勢いた。しかし、今は初めからIT部門に配属される。それでは現場との乖離を招くのは当たり前だ」と。その逆を一旦するということだ。

だが、ここから一つ踏み込んで考えてみよう。

ここでの本質はビジネス環境の変化に応じた事業構造の変化をどうやって成し遂げるかということである。たとえIT部門を解体して事業部門に再配置したとしても、結局部門間の壁があれば変化は難しい。更に、事業部門が自身で変化しようという気が無ければ、再配置したIT部門の人材が居づらくなって流出するだけだ。だから、変化を起こす文化をどうやって定着させるかだ。残念ながら、再配置しただけで変化が起きるわけではない。そこに変化を促すモチベーションを織り込まないといけない。

既存の組織や人材が変化を望む環境をどうやってつくるかということ。これが最も重要なのだ。

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