2009年6月17日水曜日

思い出の岩田屋

日経新聞 6月17日 9面
「三越伊勢丹 岩田屋の完全子会社化 発表」

消費が低迷するなかで三越伊勢丹グループは地方店舗のテコ入れの一環として福岡の岩田屋を完全子会社化すると発表した。岩田屋と言えば福岡天神を彩る名門百貨店。福岡で生まれ育った身としては一抹の寂寥感を禁じ得ない。休日に天神に出掛けて岩田屋で買い物をするというのが楽しみだった。
福岡を離れて随分と経つ。最近では福岡の町の中心も広がりを見せ、若者文化は天神の南側に移っているという。都市の成長と共に消費の中心も移動を始める。
岩田屋は天神から東側にかけて複数の店舗を展開しており、長年に渡って町の中心を"作って"きた。しかし、今は中心に大型資産を持っているが為に身動きが取れなくなったというところのようだ。
三越伊勢丹は岩田屋を子会社化して三越福岡店と統合し合理化をはかるという。合理化は�事業所と物流拠点の統合�カードと外商の統合�仕入れ先一本化と取り扱いブランドの重複解消。�の拠点統合は良い。間接費でも店頭に影響が小さいものは積極的に合理化をはかるべきだ。�は顧客情報管理を一本化するということ。しかし、「岩田屋ブランド」「三越ブランド」は別物である。地方における地元百貨店のブランドは強力だ。三越、伊勢丹、高島屋と言っても地元百貨店がある地域では二番手の百貨店になる。顧客情報管理を共通基盤で共有するのは良いと思うが、相互営業は意味がないので販管費を削減する以上の効果はない。
最後の仕入れ先やブランドの一本化は意味があるか疑わしい。元々、百貨店は単店主義であり、岩田屋は複数の店舗にコンセプトを分けてブランドを入れている。岩田屋と三越に重複ブランドがあるということは岩田屋のコンセプトと三越のコンセプトに重複があるということだ。これは当たり前で岩田屋は福岡の地域一番店として幅広いニーズに応えてきた訳だから重ならない方がおかしい。
ならば、三越伊勢丹グループとしては、三越福岡店をどうするかを決めた方が良い。地域におけるブランド力の弱い三越を閉店して岩田屋ブランドをグループとして売っていく。或いは成長著しい南側に出店して棲み分けをはかる。
この動きには二幕目がまだまだありそう。

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