2008年10月15日水曜日

資本注入

アメリカ政府の銀行への資本注入で株価が回復し、安心した。ブッシュ大統領がこの課題を次期大統領に引き渡さず決断したことは良かった。仮に、これが一期目だったら違う決断があったかもしれない。戦争好きのブッシュは石油会社の経営者としての経験もあり、財界の要請に後押しされたこともあろうが、これまでの意志決定の中で最良のものだった。

「金持ちの経営者の失敗を国民が支払った税金で賄うのはけしからん」「経営者ではなく雇用を守れ」と批判を展開したり、抗議活動をしている人がいる。ポールソン長官がゴールドマン・サックスを辞めた時に500億円もの退職金をもらっていたことも庶民感覚からは批判の対象となるようだ。日本でもバブル崩壊後に銀行を救済した時に同じような批判があった。日本のバブル崩壊は政策決定の失敗が原因だが、アメリカのバブル崩壊は何が原因なのか。
金あまりの中で、普通なら借金を負えない人にまで多額の借金を背負わせて運用をしようとした投資家、その借金を他の再建に混ぜ合わせて"リスクヘッジ"と称した証券会社。だが、結局は彼らに金を預け運用を委託した人の"期待"に応えようとしただけなのかもしれない。
そして資金を預けたのは実は年金を増やしたい普通の人達なのだ。将来の安心を得るために彼らは高い運用実績を求めた。だが、投資する人が増えて資金が増えるほど高いリターンは得られなくなる。投資資金需要を供給が上回るからだ。
ファンドマネージャーが供給側の期待に応えて新しい金融商品を開発し、影響が見定められないまま販売が広がる。危険に気がついたときには後の祭りだ。

一般人の期待が際限ないことが問題の背景にある気がする。