2009年11月18日水曜日

「文明論」だとすると尚のこといけない

民主党の小沢一郎幹事長の発言が尾をひいている。と言っても、テレビなどでは大きく扱われないようだが。

「文明論言っただけ」=キリスト教発言で説明−民主・小沢氏 http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009111600901

という記事で

「宗教論と文明論を言っただけだ」と説明し、「東洋は、人類は悠久なる自然の中の一つの営みというとらえ方だが、西洋文明は人間が霊長類として最高の存在という考え方だ」

という発言をしたそうだ。

これは先の発言に輪をかけていけない話だ。

「東洋文明は自然と調和的で、西洋文明は人間が世界を支配する」という対比は良く行われる。
なるほど!と納得しそうな話だが、こんなのは嘘っぱちである。

東洋文明の代表選手は「中華文明」であるが、中華文明が如何に自然を蔑ろにしてきたか。中国大陸の都市は全て城塞都市であり、その城壁は焼き締められた煉瓦で出来ている。その煉瓦を焼くのに山々から木が切り出され表土が流出し、洪水が多発するようになった。万里の長城を築くのにどれほどの山や丘が禿山になったことか。中国と言えば儒教が有名だが、この思想では父親に対する孝行が何よりも優先される。これは人間至上主義(父親至上主義)であり、それ以外のものには比較すれば価値はない。ことほど然様に中華文明は自然に対する支配欲は強かったわけだ。

逆に西洋では例えば多くの国で広大な緑が整備された公園があり、庭園文化はとても発達している。イギリスでは都市と田園のゾーニングが行われているので無秩序な工業化が行われていない。そのため、ロンドンから少し郊外に出ると美しい田園風景に出会える。それに引き換え、日本は無秩序な開発が行われたために、日本全国どこに行っても特徴的な田園風景には出会えない。数少ない棚田の残る山村にも高速道路が走り、風景を台無しにしている。これは日本が「西洋化」したからではなく、ゾーニングや農業を保護する西洋化をしなかったからこそだ。自然をなし崩しに支配できると思う、自然と人間が不可分であるという思想があるからこそおきたことと言えるのではないか。

とはいえ、勿論西洋文明が自然に優しかったわけではない。比較の問題として両者に差はないということだ。

小沢幹事長は「キリスト教は独善的」と言ったが、実際に独善的でない宗教はないと思う。個人的な信念や信仰は独善的でないといえるかもしれないが、それが信者を獲得する、つまり他の宗派から改宗させる存在(教団とか教会とか)になった時点で独善的になっているのだ。それを自分達だけそうじゃないと言い募るのは、個人の意見なら別だが、政治家としては見識に欠ける。

2009年11月16日月曜日

人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。それでもなお、人を愛しなさい。

「人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。
それでもなお、人を愛しなさい。」

(それでもなお、人を愛しなさい—人生の意味を見つけるための逆説の10カ条-ケント・M-キース)

長い人生において、何も自分が好きな人とばかり付き合えるわけではない。時にはウマの合わない人、意見が違う人、好きになれない人と一緒に歩まなければいけないこともある。
著者は他の格言と共にそういう態度を戒める。
「すべての質問には三つの答えがある。あなたの答え、私の答え、そして、正しい答え」

いずれにせよ十倍以上になる

世界主要国のGDPは未だに一位アメリカ、二位日本である。この順位も早晩中国が日本を抜き去り、アメリカをも凌ぐようになるだろう。中国が経済成長を遂げるシナリオをいくつかあって、一つは今の様に中国共産党が中央支配を守りながら進めていくというもの。もう一つは中国が権力闘争の末に幾つかに分裂するというもの。一つのままであれば脅威だが、分裂すれば力が弱くなるから大したことはなくなるというのは早計で、分裂すれば互いに競争してより早く大きく成長する可能性がある。

成長は「余地」があるところにしかない。戦前、ヨーロッパ各国が、日本が国外に進出を繰り返したのは当時の産業モデルや経済モデルでは土地や資源が成長には不可欠だったからだ。しかし、戦後に省資源国家日本の成長を目の当たりにしたヨーロッパ各国は植民地政策の無意味さを悟り転身を遂げる。

戦後の植民地解放は資源を格安で手に入れるよりも資源を生む国と取り引きをする方が経済成長につながると分かったからだ。アメリカの戦後の繁栄の半分くらいは日本のおかげだ。でも日本はアメリカが独占したので中国はそうはいかないと列強は熾烈な競争を繰り広げる。

中国の繁栄を欧米各国が歓迎するのは未開拓の荒野が広がっているからだ。中国が発展し、購買力のある消費者が増えて、欧米各国が企画した商品を買うことで彼らは潤う。

中国が一つであれば、その成長は比較的緩やかだが、分裂すれば成長は加速される。欧米各国が中国に干渉するとすれば、この部分だろう。欧米自体に成長余力が限られる以上、中国に干渉して成長を促進する誘惑に駆られるだろう。その時に巻き込まれて割を食う立場にはなりたくない。