2010年3月12日金曜日

百貨店の明日

日経ビジネス、東洋経済、エコノミストが続け様に「百貨店衰退」の特集を掲載した。

百貨店衰退の理由や今後の展望を自分なりに記しておく。

百貨店はかつて日本が貧しかった時代には、そのファシリティーも扱う商品も高級で贅沢なものだった。しかし、みんなの生活レベルが上がってくると、その魅力は色褪せてしまった。百貨店が売りにしていた「夢の様な空間」はすっかりディズニーランドに奪われてしまった。非日常性では郊外のアウトレットモールにすら見劣りする。

「夢の空間」がそんなに沢山作れるわけではないのだから、それを売りに出来るお店は限られる。東京なら高島屋本店くらいだろうか。他は広さを除けばファッションビルと変わらない。そこに夢空間を求めることは出来ない。

外商に代表される顧客ごとのカスタマイズされたサービスはAmazonのリコメンデーションシステムで、安価に提供出来るものだということが示された。サービスがシステム化でフリーになったことは衝撃である。

百貨店には既に売るべき商品がなくなってきた。基本に立ち返る時なのだと思う。即ち、「最良の商品を最良の価格」で提供するのだ。サービスは消費者に商品知識が足りなかった時代の穴埋めでしかない。今は消費者の方にこそ情報がある。

百貨店の明日を考えた場合、従来のサービスをベースとした高級店は全国で十店舗くらいだろう。そのほかはファッションビル化や専門店化が進むだろう。

少子高齢化は都市への人口集中を促すだろうから百貨店の閉鎖は加速していく。業態を変える店も出てくる。それは「百貨店の衰退」と見れば悲しいことだが、新しい業態の小売店が興ると考えれば何も悪いことばかりではない。

映画「フラガール」では炭鉱町が観光に業態を変える様が描かれた。寂しい思いはあれど、新しいビジネスに切り開く姿は感動を与えた。百貨店の興亡も同じだ。僕は新しい小売店の姿が出来上がることを楽しみたいと思う。