2010年5月14日金曜日

人類複数起源説

「ネアンデルタール人:ヒトと混血の可能性 ゲノムを解析」(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100507k0000m040136000c.html?inb=fr

現生人類とネアンデルタール人のゲノムを比較したところ、混血の可能性が疑われるという話し。

半村良は「石の血脈」で人類は複数の起源を持つというストーリーを描いている。異種混血により、突然変異が吸血人類を生むというのはSFだが、人類が複数の起源を持つというのは新鮮な考えだった。それが一部で証明されたようだ。しかし、もっと考え方を進めれば、アフリカ紀元以外の紀元を持つ現生人類に近い原人がいてもおかしくない。オーストラリア、南アメリカはその生物の宝庫であるが、現生人類と違う起源の人間がいても良いのではないか。

将来、ゲノム解析が精緻を極めれば、もっと沢山の人類起源が推定できる証拠が出てくるかもしれない。南アメリカのジャングルにアフリカ起源ではない人類の化石が眠っていると思うと、とてもロマンを感じる。

2010年5月11日火曜日

普天間基地問題に関する考察

【南沙諸島を他山の石とせよ】
南沙諸島の問題を見るにつけて、領土・領海問題で中国に気を許すことは出来ないと思います。メディアの論調を見ていると、「沖縄の負担」にばかり焦点があたっていて「国土保全」や「国益維持」についてはなかなか論じられません。社民党や民主党・亀井氏の様な左派の政治家は沖縄の負担を取り除けばそれでOKという感じですね。しかし、中国との間には領海境界に関して未解決の問題があり、中国はお得意の「実効支配による既成事実化」に勤しんでいて、それに対し日本政府は「遺憾」を示すばかり。

【ここ四半世紀は天然資源が重要】
天然鉱物資源に乏しい我が国にとって、中国との境界にある油田は貴重な資源です。人口の減少と文科省と日教組のタッグによる教育破壊で人材によるアドバンテージが消えつつある現在、今までのように付加価値で儲けて、海外から天然資源を購うというのは長続きしないでしょう。アメリカが教育破壊が徹底的に進んでいるにも関わらず、未だに世界一なのは一つには世界から頭脳を大学に集めているということもありますが、最後には天然資源や農作物による取引で相手を凌駕できるからです。
日本はそのアドバンテージを最高学府を引き上げることではなく、初等教育を引き上げることでアメリカにキャッチアップしました。

【日本の新しい競争力を見出すまでは領土問題には拘れ】
その強みを「ゆとり教育」でずたずたにした以上、政治は国民が高い付加価値を上げられなくとも政府主導で世界に対抗しなければいけません。その最重要テーマが外交であり、資源防衛となるのです。資源防衛の基本は辺境の隣国との境界が不明瞭な地域にある資源を手にするということです。交渉相手を叩きのめす背景には(残念なことではありますが)武力的な背景が欠かせないと思います。アメリカのGHQの理想主義者が書いた憲法9条などを金科玉条のごとく大切にするのであれば、どうやって日本の国益を守るかに答えて欲しいものです。

【国家と個人を分離することは出来るのか?】
社民党や左派の政治家の主張を聞いていると、「国家」と「個人」を対立する概念として描いているように思います。これは鳩山首相も似た思想を持っています。しかし、個人が家族や友人・知人をはじめとするコミュニティに包まれ、そのコミュニティを制度的に維持する戸籍法などの民法、地方自治体があって、その自治体が国家を形成し、国家運営に投票を通じて個人が意見を反映していくという構造は国家と個人が「分かちがたい」ものであることを示していると思います。つまり、理想的には国家の利益と個人の利益が寄り添うべきなのだと思います。

【維新の志士は故郷を捨てたわけではない】
しかし、維新の志士達が藩士の立場を超えて日本人としての意識に脱皮したように、主権国家の国民が地球市民として脱皮することは期待されるべきでしょう。しかし、それは維新の志士達が目指した「革命」が日本国家の利益を通して自らの郷土を潤したように、あくまでも世界の利益が日本の利益を通じて個人に還元されるように考えなければいけないのではないかと思います。そして、その前提には幕藩体制が日本の国益という共通目的をもてたように、諸外国あるいは特定交渉国と共通の利害を持ちうるのかということ、もてる様な提携関係を築く活動というのが欠かせないと思います。

【共通利害を持つまでには「衝突」を含めた厳しい交渉過程がある】
薩長が坂本竜馬の仲介によって同盟を結ぶまでには、互いに戦争を繰り返し犬猿の仲と言われました。しかし、その争いの中で互いを理解しやがては協力するまでになり明治政府の中核となっていったわけです。薩長のように多くの血を流して維新を乗り越えた藩は明治になって大きな利益をえることとなりました。逆に、お家大事に過ごしてきた諸藩は廃藩置県の中でどんどん埋没してしまいました。

【激しく争っている米露中は、同盟前の薩長なのかもしれない】
常に緊張を孕んでいる米露・米中・中露の関係は同盟前の薩長のようなものなのでしょう。米露は戦後一貫して激しく争い、互いを知り尽くしていると言っても良いでしょう。米中は似ています。他民族を、かたやキリスト教に根ざした民主主義で、かたや伝統的な均等主義に通じる共産主義で統合する「人工国家」と言えます。中露は互いに合理的に共産主義を利用してきた中央集権帝国主義国家としての共通点があります。そして、互いに大きな違いも持っています。それが外交上のストレスとなって度々トラブルとなりますが、それの乗り越えるたびに紐帯を深めているような気がします。

【ストレス回避が日本外交の後進性】
翻って日本は外交交渉の場では、それは政治的でも通商的でも、ストレスを回避する方向に動き損をしているように思います。今回の普天間問題も、実は政治的にはアメリカと正面から交渉を進めているわけではなく、単に「想い」と称する国内向けのメッセージだけを鳩山首相が発信しているだけです。そのため、憶測・曲解・不信が募り日米間のこの問題に関する解決の選択肢を狭めているように思います。結局、散々沖縄を煽った挙句、県外に基地移転はせず、訓練だけは徳之島に一部移し、その補償として沖縄と徳之島双方に交付金が与えられ、そのお金は公共工事に使うしか道はなく、「コンクリートに逆戻り」という形になるのではないでしょうか。

古川