2010年7月2日金曜日

円高になる理由が分からない

1ドル=86円

かつてバブルに踊った頃、円高を背景に日本企業や個人が海外の資産を買い漁った。

当時の日本は空前の好景気に沸いていた。その原資は子育てが一段落ついて可処分所得が増えた団塊世代の旺盛な消費だった。有り余るマネーが野放図に土地投資に向かい、どんな事業もソコソコの成功を収めた。バブルは日本の歪な人口ピラミッドが招いた徒花だった。

しかし、今回の円高は意味が分からない。バブル崩壊後、失われた10年などと言われながら円は高いままだった。お蔭で日本企業はただでさえ高い生産性を際限なく改善し続け、更に海外に生産拠点を移し、いわゆる"デフレ"を招いた。"景気回復"を旗印に歴代政府はバラマキを続け、小泉政権で一時的に減ったものの、現在では財政状態は最悪だ。

そんな先の見えない日本で円が買われ円高になる理由が良く分からない。欧米経済が金融危機を脱し日本は置き去りになった。ギリシャの財政破綻は欧米経済を痛めたが、日本の財政も破綻寸前なのは変わらない。ギリシャを見ていると破綻の原因となった放漫政治が過大な"ポピュリズム"に基づくものだと分かる。

小泉政権後、日本は折角の財政健全化への道を自ら塞ぎ、ギリシャの様に「政府が雇用を創出する」とまで言い出した。際限ない財政支出はいつか破綻を招き、預貯金を通じて国債に投資されている国民の資産を奪うだろう。その時に目敏い投資家は円を売り浴びせ鞘をとって儲けるに違いない。それは金に汚いとか言うことではなく、状況を利用する知恵だ。

そう考えるとこの理解不能な円高も様々な思惑が絡みあった結果なのだろう。そして、円高は決して日本経済を利さないだろう。