2007年7月28日土曜日

何を選択するか?

参院選の投票が迫って来た。年金問題や政治家の事務所費問題で幕を開けた選挙戦はイマイチ争点がはっきりしない。お祭り的な泡沫候補も少なく、注目されている気がしない。

年金や政治と金の問題は確かに大事な話だが、政党が組織ぐるみで経済犯罪を犯している訳でもないのだから選挙戦の争点として掲げるのはおかしい気がする。秘書費問題をうやむやで切り抜けた社民党が声高に叫ぶのは矛盾してる気がする。年金問題は確かに行政責任が問われる。でも、これは社会保険庁をはじめとする官僚組織や官僚の問題で、官僚制度改革などが争点になるべきだろう。
個別の年金問題解決は確かに必要だが、それは穴の開いた鍋を修理するような話。道具があれば誰にだって出来る。だけど鍋を取り替えるって話をしなきゃいけないんじゃないの?
官僚組織をぶっ壊す!このスローガンを言える政治家を探してみようと思う。

2007年7月26日木曜日

病院経営のいびつさ

日本では病院の経営者には医師免許が必要だ。見直しは検討されているようだが、医師免許がないと病院は経営出来ない。かといって、経営免許がないと医師になれない訳でもない。だから、経営に疎い院長が沢山いる。

株式会社も病院経営が出来ない。公益性が必要な病院経営には営利企業が参入すると患者が蔑ろにされるからという理由らしい。

一見筋が通っているようだが、騙されてはいけない。営利企業が患者を蔑ろにして利益を優先するからダメというのは消費者である患者を馬鹿にした話だ。消費者は賢い。百円のジュースだって一番良くて美味しいものを選ぶ。単にCMが派手なだけじゃ直ぐに売れなくなる。
だから、営利企業は必死に改善してより良いものをより安くしようと努力する。病院を経営したって同じこと。患者を増やさないとやっていけないから、患者に選ばれる病院になろうと必死に努力するはずだ。だから、営利企業が公益に反するというのは誤った認識だ。

病院は医療という高度に専門的なサービスだから医療の知識がないと判断を誤るという意見もある。しかし、医療サービスの基本や現場で何が起きているかを知っていて、その目で見ていれば判断するには十分だろう。経営者に専門知識があるに越したことはないが、必須ではない。

要は、これらの規制は医療業界の利権になっているってことだ。意味のない規制は撤廃した方がいい。経営者としての能力がない院長も救われるだろう。

2007年7月25日水曜日

今日の一言

僕の腕はそんなに長くない。オマケに人の気持ちを変えるほど器用でもない。

三越 伊勢丹と資本提携交渉へ

「三越 伊勢丹と資本提携交渉へ」
日経新聞 7月25日 朝刊 一面

不振の三越が伊勢丹に救済されるというのが実態のようだ。社風も得意領域も違う両社が合併をするとは思えないので、ホールディングスの配下でコスト圧縮を共同して行うということになるだろう。

伊勢丹は百貨店業界の中で独自のマーチャンダイジングが出来る会社。昔は他の百貨店もその機能を持っていたが、今では弱まっている。伊勢丹以外の百貨店が大型店舗の出店で規模を追求する中で、マーチャンダイジング能力に競争力の源泉を見いだした伊勢丹の先見性が光る。

百貨店はサービス業であるという基本を見失って新店舗などのハードウェアに投資をしたのが、ここに来て徒となった。伊勢丹が三越を変えることが出来るのか。三越が伊勢丹を利用して変わることが出来るのか。注目したい。

民間物流共同戦線

ヤマトと日通、セイノーが株式の持ち合いによる提携を進めていると伝えられている。民営化される郵政への対抗策として、民間物流連合が生まれるとみられている。佐川が含まれていないのは何故か?郵政民営化以外の理由がないのか?

少し考えてみようと思う。

2007年7月24日火曜日

一番遅れてやってくるもの・・・

公選法、ネットでなし崩し 参院選で露呈、自主規制は限界

各党が選挙戦の情報をネット上で公開しているという。選挙期間中のネット上での情報配信はブログの更新すらNGと聞いていたのでおどろき。しかし、

2005年の衆院選では、民主党が当時の岡田克也代表の遊説内容などを掲載し、総務省から公選法に抵触する恐れがあると指摘され

とネット上での情報配信を法律違反と判断していた総務省が、

総務省も今のところ静観する構えを見せている。

というのは情けない。加えて、

総務省も、「(選挙運動かどうかの)判断は、警察が行う」と言葉を濁す。

と、適用の基準を示さない。これでは恣意的に警察が検挙することも出来てしまう。役人のレベルも地に落ちたものだ。

農地集約へ税制見直し

日経新聞 7月24日 朝刊 一面
「農地集約へ税制見直し」

改めて考えると農家に対する税制優遇は不公平感を否めない。相続税が条件付ながら減免されると他の真面目に税金を納めている人は馬鹿らしくなって来るだろう。都市生活者は三代続けば土地を失う。相続税を払う為に切り売りせざるを得ないからだ。それを避ける為には立派な木造家屋を取り壊してマンションを建てて運用しないといけない。
都市生活者にはそれだけの努力を強いておいて、農家だけ優遇するというのは不公平の謗りを免れまい。これまで行政は農地を相続した人が農業を続けるインセンティブとして税制優遇などの措置をとってきた。しかし、実際には農業を放棄する人は減らない。農家の跡取りが農業に関心があるとは限らない。それでも、経済的メリットがあれば農業を続けると考えての優遇なのだろうが、自分のやりたいことを投げ打ってまで家業を継ごうとする人はいない。
職業の選択肢が少ない時代ならまだしも、今の時代にそんな犠牲を払う人は少ないだろう。農地における生産は継続に意味があるから、農業を継続する意志のないものは退場してもらうしかない。事業用地の売却益に税金がかからないわけはないのだから、税金はとるべきだし、用地の売買も税金に対するプレミアムが加えられるべきだろう。農地の価格はそこから期待される収益に依存するわけだから、痩せた土地は安いし肥えた土地は高い。
長い間農業放棄をしていた土地は安いし、ギリギリまで生産していれば豊かだろう。それを隣と同じ値段で売ることは出来ない。それは自由な経済原理に反する。
もちろん、不当に安く買いたたかれたり、転売目的で買い占められるのは避けないといけないだろうが、利用目的を限定した上で取り引きを自由に保証した方がいい。
小作人保護の社会主義特権階級制度から脱却するべきだろう。

2007年7月23日月曜日

チェンジリーダーシップ

「がっちりマンデー」の今週の放送が面白かったと聞いたので見てみた。

テーマは「儲かる地方自治体」。事例が二つ紹介されていた。

【1】岩手県葛巻町
http://www.tbs.co.jp/gacchiri/oa20070722-mo1.html
http://www.tbs.co.jp/gacchiri/oa20070722-mo2.html
【2】大分県大山町
http://www.tbs.co.jp/gacchiri/oa20070722-mo3.html
http://www.tbs.co.jp/gacchiri/oa20070722-mo4.html

どちらの例でも以下のことが言えると思う。

■ビジネス感覚
■ニッチで一番
■チェンジリーダーシップ

町政や農協の運営は従来はビジネス感覚の無い「役人」によって支配されてきました。そこには「前例主義」「減点主義」がはびこりコスト意識の無い運営がされていた。それを”普通”のビジネス感覚をもって運営することによって、「生産コストの圧縮」や「新ビジネスの創出」が図れる。また、大山町の生産者から売価の80%で仕入れるというのも普通のビジネスでは当たり前のことだ。

また、どちらのケースでもニッチを狙っている。葛巻町は「子牛の育成」で一番を、大山町は「直売店の商品数」で一番を狙って成功している。地方が他の地方や都市と競争するためには「そこならでは」の差別化が必要だ。そこには地方の土地や歴史に根ざしたものが一番。葛巻は自分たちの土地や牧畜の歴史を背景に、大山は険しい地勢を逆手にとってそれを売りにしたところが成功の要因だ。

最後に、その改革をひっぱるリーダーシップが特徴だろう。葛巻では新しいビジネスを町がはじめることに抵抗があっただろうし、大山では稲からの転作は大変だったろう。それを町長や農協理事というリーダーが自ら変わることを旗印にかかげ、町民や農家を励ましつつ変えていったことは見習うべきだ。全てのアイデアは彼らが出したものではないだろう。だけれど、メンバーが思いついたアイデアを実現に向けて勇気づけ力づけるのはリーダーの役割だし責任だろう。

書評 クリエイティブ・クラスの世紀

クリエイティブ・クラスの世紀

  • リチャード・フロリダ
  • ダイヤモンド社
  • ¥2,520
  • goodgoodgoodgoodgoodオススメ度: 5

経 済的発展がその都市や地域の3つのT(技術(Technology)才能(Talent)寛容(Tolerance) )によって支えられると主張している。更に、大前研一の主張を取り上げて国家という単位ではなく国境を越えた「地域」という単位でクリエイティブに従事す る人材をひきつけないといけないと言っている。

僕は福岡の出身だが、この地域はクリエイティブクラスを惹きつける魅力を出せると思う。
1)学術機関:九州大学をはじめとする学術機関が集まる
  北九州には九州工業大学という理工系大学もあり、
  1時間で行き来できる。
2)住環境:郊外に開発余地があるため住宅地の確保も容易
3)芸術:福岡市は九州各地から若い才能が集まるところと
  して知られており、創造性が刺激される街になっている
4)交通の便:日本で唯一市街地に30分でアクセスできる
  空港があり、域外との交流も容易
5)寛容さ:古くから商人の町として栄えたため、部外者の
  流入に対しては寛容。商人の祭りである山笠でさえ、
  適当な商人の後ろ盾があれば参加できるシステムがある

制度的には、流入してくる才能への優遇(税制や住居、ビザなど)を強化することが必要である。また、学術機関への助成などは地域が後ろ盾となってとっていけば、若い才能の定着にもつながるだろう。何よりも、街が凝縮していて生活しやすい。

などということを刺激されて考えさせられた良書だ。

2007年7月22日日曜日

中越沖地震で見えた教訓

中越沖地震で見えてきた教訓は多い。中でも「地震のリスク」を前提とした危機管理というのが大事だと思った。

倒壊した家屋の殆どは最新の耐震強度を備えていないものばかり。原発も同様。産業も個人も「必ず地震が身の回りで発生する」という前提で全てを考えないといけないということだろう。

家屋の耐震診断は1万円で市が斡旋していたという。耐震工事も助成金があったらしい。しかし、殆ど利用されず被害は広がった。制度があることが浸透していなかったという理由もある。だが、大きかったのは「心構え」。

住民の多くは「新潟にはしばらくは地震は来ないだろう」と思っていたという。しかし、現実には地震は発生した。原発も同じだ。地震のリスクを低く見積もってしまったことが被害を大きくした。

地震はどこでも当たり前のように発生する。特に日本では。家屋の耐久性は大丈夫か?周辺の施設は地震に耐えれるか?一度チェックしてみた方がいいだろう。