2008年3月21日金曜日

限界が予想出来た福田総理総裁

福田政権が空転している。だが、この事態は容易に予想出来たことだ。

安倍前総理が辞任して福田・麻生両氏が総裁候補に取り沙汰されていた去年の秋、僕は小泉・安倍・福田・麻生四氏の経歴を比較してみた。その時、小泉・麻生両氏、福田・安倍両氏の類似性に気づき、福田氏が総裁になると大変なことになると思ったものだ。

小泉・麻生両氏は共に四半世紀を超える議員経験があり、大臣も経験している。また、二人とも総裁戦に挑んで敗れたことがある。これは、たとえ負け戦でも最後まで付き合ってくれる同士がいるということで人望の現れだ。
福田・安倍両氏は逆に議員経験が短く、大臣経験も殆どない。大臣経験がないというのは、官僚を使って仕事を進める方法を知らないということだ。そして、総裁戦に始めて挑んで当選した。特に、福田氏は安倍氏に負ける可能性が高い困難な戦いを回避し、麻生氏とは勝ち目が分かるまで決戦を避けた。つまり、自分と心中してくれる同士が少ないか、いても信用していないのだ。

そんな福田氏だから、安倍氏と同様に政権運営に不手際が現れるだろうと思ったが、やはり野党への根回しに失敗して日銀総裁の空白を招いた。このままでは暫定税率も廃止に追い込まれそうだ。

民主党は最初は古狸が出てきたと警戒し、大連立などと騒いだが、実はトッチャン坊やだったと気付いて頑として対立する構えだ。福田総理も舐められたものだし、国民としては迷惑この上ない。
幸い、サブプライムローン問題でがたついている欧米は最後の頼りと日本の金融行政正常化を願っていてくれているが、普通ならとっくに世界から見捨てられているところだ。

今の混乱が続くようであれば、たとえ解散となっても民主党が期待されるとは思えない。早く建設的な政治状況になって欲しいものだ。

書評 地頭力を鍛える

「フェルミ推定」という言葉に惹かれて読んだ。最初にフェルミ推定の問題があり、3分で暗算した。その後、「地頭力」判定のチェックシートがあり、見てみ ると全てクリア。・・・読むまでもなかったか。フェルミ推定を知っていたり、ロジカルシンキングなどが分かっている人には無用の本。ただ、ビジネスパーソ ンとして考える力を身につけたいと思っている人の入門編としては良いかも。

地頭力を鍛える 問題解決に活かす「フェルミ推定」
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5 麻雀も頭使わず負けてばっかだったけど
5 久々に面白いビジネス書を読みました

書評 V字回復の経営

古い本だが、三枝氏の他の本を読んで興味を持ったので読んでみた。

戦略転換にあたり、「力のリーダー」「知のリーダー」「動のリーダー」が揃っていることが必要という言葉は響いた。氏は「全てが揃っている人は少ないが、 それぞれの要素を数人で満足させることは出来る」と書いている。確かに自分も含めてその様なリーダーシップを発揮できるかと言われると心もとない。だが、 蛮勇を奮うことも、論理的に考えることも、具体的に動くことも、ビジネスパーソンとして重要なことなのだと思った。
ビジネスって面白い。

V字回復の経営
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2008年3月18日火曜日

日銀総裁、円高、石油元売買収

日銀総裁の人事は混迷を極めている。民主党は何が何でも反対を貫く構え。日銀出身と財務省出身がたすき掛けで就任してきた総裁の椅子。民主党はそれがいけないと言い募るが、日銀出身ばかりでも風通しが悪かろう。ここ二代は日銀出身だが、とてもうまくやったとは言えない。民間出身でとなると大手金融機関出身となるが、民主党の論法で言えばマネーサプライ側とデマンド側の分離が必要ではないかとなると思うが。
いずれにしても、拒否する理由はいくらでもあるってことだ。こんなに無様な状態にも関わらず、円高が進んでいる。いや、無様だから防衛策が発動されないと足元を見られているのだろうか。相対的に日本の金融機関はサブプライムローンの影響を受けなかった。消極的と敬遠されていたのが、傷が浅いと評価される。相場なんていい加減なものだ。
いい加減なものに振り回されることはないと思うのだが、人間は市場以上に効率的な評価システムを見つけられてない。それが先物市場で原料高を生む仕組みとなった。原料高アップで耐えられない会社は吸収されるしかない。元売り合併も、まだ国内だけの話だが、これは国境を越える展開になるだろう。日本企業が外資に吸収されることもあるだろう。
原料高を招いた先物市場という仕組みは日本人が発明したらしい。江戸時代に米作に資金を貸し付ける市場を作ったのが始まりだとか。本当かどうかは知らないが、だとしたら皮肉だ。

2008年3月17日月曜日

文化を飲み込み消化し同化する恐るべき民族

チベットでの暴動発生について改めて考えさせられた。

今回の暴動の原因は情報が錯綜していてはっきりしない。チベット側曰く「文化的殺戮」、中国側曰く「独立派の扇動」。以下のブログで現地の言葉が伝えられている。

【記者ブログ】情報統制を超えて漏れ聞こえるラサの悲鳴をきけ! 福島香織

きっかけは僧侶のハンガーストライキで、要求は「漢族、回族の大量移民政策の停止」だったらしい。中国は過去にも自治区に漢族を大量移民させて民族的独立 性を消滅させる政策を実施した。この政策は漢民族のお家芸だ。漢民族は支配民族であろうと、被支配民族であろうと文化的な独自性を消失させ同化させる不思 議な文化的影響力をもった民族だ。

中国というと「漢民族」が支配民族であるように思うが、実際のところ漢民族が中国大陸を支配していた期間は短い。記録がハッキリしている秦から数えても、多くは無い。
秦・漢・三国・晋・南北朝・隋・唐・五代・宋・元・明・清・中華民国・中華人民共和国
と続く歴代王朝や政権の中で漢民族が主体であったのはわずかに漢~晋と宋、明あたりだろう。特に晋以降の漢政権は弱く周辺民族の脅威に常にさらされてい た。しかし、そんな中にあって漢民族は支配民族を漢化し自分たちの文化を守り、あまつさえ拡大させてきた。あの強大な元ですら、漢文化を脅かすことは無 く、むしろ支配のために利用した。

それに加えて辺境への大量移民も中国歴代政権のお家芸である。日本でも江戸時代にお国替えなどという移封政策はあったが、支配層だけが移動するのと違い、 中国では一般人まで含めて根こそぎ移動することが特徴だ。昔であれば移動する手段などの制限もあってそれほど遠くに大量に移民をさせることは不可能であっ た。しかし、現在では鉄道などによって大量の輸送が可能になったことがその影響範囲を格段に広くしている。

この様な影響はアジア全域の中国と陸続きになっている国には全て広まっている。朝鮮半島も例外ではない。古来、複音姓であった朝鮮半島が「金」「李」などの漢風姓になっているのがその影響だ。それでも朝鮮半島は朝鮮語などの文化を守ることが出来た。

今回のチベット動乱は歴史的に中国から大きな影響を受け、文化の危機を経験した国ほど声をあげて良い。韓国、ベトナム、タイ、モンゴルなど。韓国などはチベットを従容として認めたら、次は自分たちの番だという危機感を持っても良い気がする。

さて、我らが日本は荒波猛る日本海、玄界灘に感謝しなければいけない。大陸文化の影響を受けつつも、独自の文化を守り発展させることが出来た。しかし、険 しい山脈によって守られていたチベットが中国に侵攻されたという事実、はほんの少し状況が違えば戦後日本にも起き得たことだ。それを考えると、日本の幸運 に感謝しつつ、そんな無法・無秩序なことを許さないためにも断固中国政府に抗議するべきことだと思う。