2010年12月29日水曜日

日航労組の「整理解雇無効訴訟」を支持しないワケ

日航が人員整理に「奥の手」整理解雇を実行する。200人の整理解雇対象者のうち、希望退職に応じたのはわずかに30人。170人が整理解雇となった。これに対してパイロットと客室乗務員の労組は訴訟を起こすという。

破綻企業が税金で再生するにあたって解雇出来ないでは、また倒産に至るだろう。国内線にせよ、国際線にせよ、需要より多い路線は経営を圧迫した。再生計画が路線縮小を求めているのは収入と支出のバランスを考えると当然だ。路線縮小は飛行機の削減であり、そこにあるパイロットと客室乗務員の仕事の減少だ。

人が余った場合、多角化企業であれば他の職場や新規事業に吸収出来るかもしれない。しかし、日航は他に200人もの労働需要がない。また、客室乗務員はまだしも、専門職であるパイロットは職場を代わることが難しい。

パイロットにせよ、客室乗務員にせよ、日航という枠を外して見回せば再就職は可能だ。スカイマークなどの新興会社やLCCは人手が不足している。問題は待遇だろう。

スカイマークのパイロットの年収は日航の半分だという。LCCも似たようなものだろう。これはパイロットという職業が成熟して普通の仕事になったということだ。今までよりも低い報酬に甘んじることを良しとするかどうかだ。

整理解雇されるパイロットや客室乗務員は発想を変えた方が良い。これから日本向け航路を開発するLCCは絶対増える。日本の空港を知るパイロットは必要とされるだろう。収入は落ちるだろうが、思い切ってLCCの母国であるアジアの国に移住すれば良い。生活レベルは維持できる。

似たようなことは多くの日本企業にも言える。行き詰まった会社に身動き出来ない従業員がいるのだ。大企業の従業員なら中小企業に、都市部の企業から地方に行くことで生活レベルを維持した上で、より高いレベルの企業で身につけたノウハウを活かして活躍出来る。