2010年10月28日木曜日

貸金業規制の欺瞞

「年収の三分の一を越える貸し出しは出来ません(住宅ローン、自動車ローンを除きます)」という規制のなんと欺瞞に満ちていることか。

何故、住宅や自動車のローンが除外されるのか?そもそも何のための規制なのか?

規制の原点は「多重債務者」にあったろう。無理な貸し付けと借り替えで借金まみれになった人を救済するという。だが、そうなった人には破産を選ぶことも出来る。数年間の不便な暮らしを甘受すれば良い。

グレー金利はそもそも最低金利が低すぎたことに理由がある。グレー金利が違法ギリギリだったために暴力団などの不法者につけこむ隙を与えた。第一、借金をして生活レベルを上げてその返済をモチベーションに頑張るということが考えられない人はよっぽど豊かな階層の人だ。

建築基準法に続く規制強化法案。建築〜に続く官製不況の原因となるのは間違いない。

靖国合祀が戦争被害者を加害者にしたてるという変な理論

那覇地裁に訴えられていた「靖国合祀取り消し訴訟」は敗訴となり原告が控訴することとなった。

あまり強い関心があるわけではないが、原告弁護団の次の言葉に引っかかった。

「神社の無断合祀を認めることで、戦争被害者が加害者と同列に置かれる。」

恐らく所謂"A級戦犯"を指して加害者と言っているのだろう。そして、戦死者は被害者なのだと。

国家間の戦争において、一方の国内に戦争の加害者と被害者がいるというのは可笑しな話だ。封建国家で国民の意思と政府が無関係であれば戦争において両者は対立するかもしれないが、日本の様に選挙によって選ばれた政府の決定には国民が連帯して責任を負うべきだろう。敗戦の責任は追求されるべきだろうが、戦争したこと自体にあの時代に加害者も被害者もない。

軍部が力を持っていたので誰も反抗出来なかったというのはあり得ない。戦時中に東條英機は退陣し、終戦を無役で迎えたのが日本に独裁体制がなかったことを示している。なら、何故あの戦争が止まらなかったのか。ひとつには欧米列強に外交舞台で追い込まれたこと。もう一つは日清・日露・第一次世界大戦と続けて勝者になったことで国民を含めて驕っていたのだ。

世界で同盟国は僅かに二ヶ国。ほとんど"世界"を相手に戦ったに等しい。その戦争を生き残るため、誇りのため、家族のために戦ったのは国民自身だ。政府や軍はその指揮者の役割を演じただけだ。

だから、私たちは自分の父祖が、この幸せな時代のためな戦ったと誇って良い。その父祖を勝たせるために政府と軍が指揮したということだ。決して政府と軍が私利私欲の為に国民を追い立てたのではない。平安の御代から軍人は平時に遠ざけられる損な職業だ。

戦争は避けうるものだし、外交手段としては奥の手だ。その最後の切札を安易に切りまくったことは批判されても良いが、所謂"A級"戦犯が加害者という考えに私は与しない。

2010年10月26日火曜日

相続税増税が格差是正につながると真剣に考えている人がいた

ちょっと古い話だが、原稿が塩漬けになっていたのであしからず。

しばらく覗いていなかったが、久しぶりに見てみるとこんなテーマを取り上げていた。

「相続税上げ階級固定化防ごう」
http://mainichi.jp/select/biz/katsuma/crosstalk/2010/01/post-35.html

噴飯モノである。
切っ掛けは鳩山首相が母親から貰っていた「お小遣い」であるようだ。
それと世襲議員についても言及していた。
よっぽど「世襲」が嫌いらしい。

相続税をあげても鳩山首相のような脱税はなくならない。
むしろ、より水面下に沈み込み、ただでさえ低い相続税の捕捉率が下がるかもしれない。
「階級」ということをしきりに言うが、日本に諸外国のような極端な階級格差はない。

ブリジストンの創業者だって貴族の出身ではない。
今の多くの資産家が戦後の復興のなかで苦労して資産形成した。
それを国が取り上げるというのはどうだろうか?

それより相続税を安くしてはどうか?
鳩山首相でなくとも老人が資産を持ち、その子や孫が経済的に苦労しているということはある。
相続税や贈与税があるため老人が墓場にもっていく資産がなんと多いことか。
それが安くなれば生前に相続をしてしまって、子や孫が消費を活発化させるだろう。

今の不景気の一つに「年功序列や高度成長期型の年金制度設計」によって後払い消費が減退していることにあると思う。
高度経済成長期に薄給で将来の見返りを期待して苦労して働いていた人たちがいざ資産を手にし、年金をもらっても消費意欲がなくなっているのだからそのお金は塩漬けになっている。
そのお金を消費意欲が旺盛な若年層に回せばよい。
一つは贈与や相続。一つは福祉サービスだ。

福祉サービスによって高齢者が世話をしてくれる若年者にお金を支払うのはとても良いことだ。
しかし、「高齢者」=「弱者」という硬直した考え方が福祉サービスを十分な見返りのあるビジネスにすることを阻害している。
これは医療サービスも一緒だ。

では、本当の弱者は誰か?と言えば、規制によって薄給で福祉サービスや医療サービスに携わっている若者達だ。
その若者達に金余りの老人の富を移転するべきだ。
それは徴税と支給ではなく、ビジネスを通して図られるべきだと思う。