2011年2月18日金曜日

テロに敗れる国家

農水省は今季の調査捕鯨を中止することを決定した。早速シーシェパードは凱歌を上げているようだ。 
 
かの団体はテロリストというよりも「海賊」である。船に掲げている旗は海賊旗を模しており、自覚しているようだ。しかも、オーストラリアやニュージーランドなどに公認された私掠船である。自ら「エコテロリスト」と名乗るように、彼らは"不法者"だ。その目的は「海洋哺乳類の保護」である。 
 
保護と言えば聞こえは良いが、「海洋魚類の天敵の保護」でもある。海洋哺乳類を食用にする食文化は同時に海洋魚類を食用にする文化でもある。海洋魚類を食用にする人間にとって海洋哺乳類は同じ獲物を求める競争相手である。しかし、海洋魚類を食用にする文化で海洋哺乳類を根絶するまで狩りつくした例はない。広大な海洋を背景として、あくまでも沿海漁業の範疇でのことで、そこに節度というものがあるわけだ。 
 
翻って、かつて陸地の食物連鎖の頂点にあった狼やライオンはどうか?その数は減少している。人間と草食動物を取り合う競争相手であったからだ。魚類を捕食する文化に乏しい内陸部では、この脅威に対抗するべく狼を狩りつくし、ライオンを追い立てた。それを生み出した畜産文化は非難されないのだろうか? 
 
いや、確かシーシェパードは「ベジタリアン」だったはずだ。魚を大量に喰らう海洋哺乳類を保護するのがベジタリアンとは、まるでパロディのようではないか。 
 
話を元に戻す。 
 
農水省はテロリストを恐れて捕鯨を中止した。本来であれば、捕鯨船に海上自衛隊の護衛艦が付き添っても良いくらいだが、日本の法解釈上はそれが出来ない。「軍隊を動かすくらいなら捕鯨をやめたほうが良い」という人が多いのだろう。しかし、一事が万事。これで日本という国はテロリストに屈するという評価が下ってしまうだろう。 
 
日本赤軍のダッカハイジャック事件と同じ年にドイツで起きたハイジャック事件が特殊部隊によって制圧されて以降、テロリストに対しては要求を聞くことなく武力をもって立ち向かうことが常識である。更に、シーシェパードはテロリストというよりも海賊に近く、捕鯨妨害に名を借りた海賊行為によって(寄付などの)収入を得ている。この様な勢力に生っちょろい憲法九条などの制約で敗れてしまうのは残念なことだ。 
 
来季の調査捕鯨には是非とも海上自衛隊の護衛艦を伴って欲しい。公海上での海賊行為は日本政府の公用船舶によって取り締まることが出来る。シーシェパードの海賊船を拿捕して日本まで曳航、あるいは撃沈し、彼らの意図を打ち砕いて欲しい。

数値分析〜高校ではもっと「統計学」を教えるべきだ

今日、少し時間が出来たので会社の数値分析をした。会計数値を使ったものだが、かなり妥当な当社の収益モデルが出来た。まぁ、一部の部門なので他の部門の収益モデルも作らなくてはいけないが。

こういう分析をして思うのは、高校などではもっと統計学を学ばせるべきだということだ。世界に冠たるトヨタをはじめとして、戦後日本の製造業の隆盛にはデミングが伝えた分散分析や仮説検定などの統計手法の応用が役立った。トヨタ方式にも統計分析がなくては始まらない。

なのに、学校教育で重視されていないのは問題だ。特に高校では実践的な課題解決を含めて力をいれるべきだと思う。

2011年2月15日火曜日

年金問題の解決案

鳴り物入りで民主党政権に入閣した与謝野大臣は「税と社会保障の一体改革」を担っている。団塊世代が年金受給期に入るに連れて急増する社会保障費。年金と保険は「付課方式」になっているが、年金を支払う世代が受け取る世代より遥かに多かった時代には維持出来たこの方式も、その構成比率が逆転した現在では持続可能な制度ではなくなっている。

年金にせよ、保険にせよ、"税金"とは違うのだから「再分配」の制度として扱ってはいけない。「積立て」=〉「運用」=〉「(必要な時に)受け取り」というサイクルが必要である。ところが、年金も社会保険も集めたものを基本的には単年度で支給する。だから、年金や保険は払う世代が多かった時代には支払いが安かった上に支給しても余ったので、バカみたいな「ハコモノ」が沢山建てられた。

基本的には積立て方式に以降するべきだと思うが、今受け取っている人には積立てがない。一方でこの世代が一番金融資産を保有している。ならば、ある程度の積立てが賄えるまで金融資産に課税すれば良い。

金融資産に課税した上で相続税や譲与税は廃止する。一定額の課税控除を設ければ、高齢者の手元で塩漬けになっている資産が若年層に移転する。若年層は社会保障が「積み立て方式」になることで無用な将来不安を持たなくなるため、活発に消費するようになる。資産が移転することで金融資産課税の徴収額は減るだろうが、消費が活発になることで税収は上がる。税収の一部を積み立てに補填する。

積み立て不足がある程度解消されたら、年金事業は民間に売却する。人員も含めて民営化し、政府機能をスリム化する。売却益は国債の償還にあて、国債利払いの軽減を図る。社会保障も民営化出来るものは民営化して、国債を少なくしていく。年金も保険も自動車保険の自賠責のような仕組み(強制)と希望者が入る二本立てにするべきだと思う。

2011年2月13日日曜日

エジプト ムバラク大統領失脚の捉え方

エジプトのムバラク大統領が9月の任期まで辞任しないという会見から一夜にして逃げる様に辞任した。民主化が成就したかの様な報道や中東や北アフリカ地域の独裁あるいはイスラム政権への影響などが取り沙汰されている。しかし、この政変にそういうポジティブな評価を単純に下すのはどうだろうか?

「極東ブログ」で指摘されているように、ムバラク大統領が全権を軍に委譲したことは、軍事クーデターであり、その軍と繋がりの深いアメリカが今回の政変を支持したのはエジプトの政治的態度が従来からは変わらないという確信があってこそだろう。イランが「民衆活動」としてのムバラク辞任を支持したのはアメリカから主導権を奪うためで、軍と反ムバラク民衆との離反を狙ってのことだろう。しかし、余程のことがない限りこの政変がイスラム革命に繋がることはないだろう。

軍の管理下におけるデモとそのデモを背景にムバラク独裁を軍が転覆したというのが今の状態であるなら、これが本当の民主化に繋がる保証はない。つまり、今回の政変が示したのは相変わらず中東や北アフリカでは軍が最強の政治的プレーヤーであり、これから幾多の民主化プロセスが踏まれるが、そう簡単な話ではあるまいということだ。