2011年10月28日金曜日

郵政を片付けろ

郵政法案の修正協議を梃子に民主・自民・公明の三党融和を図る動きがある。民営化を進めた自民党も本音では民営化には消極的で、民主党は反小泉で民営化反対だっただけで明確なポリシーはない。公明党は、母体である宗教団体の教義を考えると、あまねく日本中に慈善を施す「ユニバーサルサービス」には積極的だろう。その点、元代表の保有する輸送会社が郵政の仕事をしている国民新党よりも公明党の考えの方がマシだ。

しかし、この「ユニバーサルサービス」を再考することが今は重要だ。

20世紀後半まで、経済成長や豊かになることは人々の生活圏が拡大することと同義であった。経済成長の基本は天然資源の採掘や農作物であったため、生産の拡大には広大な土地を必要とした。更に、都市の高層化技術が未熟だったため、経済成長とともに増える人口を都市は吸収出来ず、結果的に都市近郊に生活圏が拡大した。

「ユニバーサルサービス」は多くの人や産業を郊外や地方に分散させる為に国家が整備を約束したものだ。

ところが、今や日本に於ける経済成長の基盤は資源採掘や農生産から工業生産を経て知識産業やサービス業に以降した。これらは生産に必要な土地は少なくて良い。更に、高層建築技術の発展は都市の人口吸収力を倍加させ、生活圏はどんどん都市に吸い寄せられている。

地方や郊外に国民を住まわさざるを得なかったための「ユニバーサルサービス」は、全員が都市に住める様になれば不要となる。ニーズがなければ縮小して、それによって都市への人口集中を促すという発想があってよいではないかと思う。

そして、この愚にもつかない論争に幕を下ろしてもらいたい。