2011年1月6日木曜日

福島党首には生活再建は出来ない

日経新聞 1月6日 朝刊 二面 寸言より
社民党の福島党首が「開国元年といったが日本は開国していなかったのか。(中略)開国元年ではなく生活再建であるべきだ」と記者会見で発言したらしい。本当にこの人が消費者担当大臣をやめてくれて良かった。菅首相は、野党に対抗する意味もあろうが、自由貿易協定への参加に意欲を見せた。それを批判する福島党首が「生活再建」を謳うのはおかしい。

福島党首は、民主党の旧社会党勢力も、生活再建の為に企業に雇用の拡大や賃上げを要求する。昨夜のビジネスサテライトでは多くの経営者が新規雇用や賃上げには応じられないと答えた。企業が雇用を増やすのは、新たな需要が見込め継続することが見通せる時だ。しかし、日本は人口減少が続き、消費が増える可能性が低い。雇用が増えてみんなが豊かになれば消費が増えるというが、世界一豊かな個人に溢れる日本ではいくらひとり一人がこれ以上お金を得ても消費は増えない。

日本で最も豊かな層は「老人」である。彼らは有り余るお金を使う当てがない。貧しいのは若者だ。彼らは収入が増えても老後の為に貯蓄する。貧しいとは言え、彼らは十分に持つべきものを持っている。

自由貿易協定にサインすると何が起きるか?安い衣食が入ってくる。収入が増えない消費者にとって、これは福音だ。モノが安くなることで相対的に収入が増えるからだ。

貿易相手国の収入が増えると彼らが日本の高付加価値商品を買える様になる。日本の成熟し、これ以上買うものがない消費者から、途上国のいくらでも欲しいものがある消費者にターゲットが代わる。しかも、彼らは何も日本企業が自分達の商品を劣化再生産したものが欲しいのではなく、日本で売られている高品質の商品が欲しいのだ。斯くして新たな継続する需要が見いだされ、企業は新規雇用を増やす。

国内では介護や付加価値の小さなサービスで労働者需要が増えるだろう。それを担うのは移民や出稼ぎだろう。ただでさえ日本の若者は老人を経済的に支える。その上にサービスまで求めることは出来ない。

この移民や出稼ぎは実際には多くの消費を行う。コツコツ貯めたお金で百貨店で一張羅を買うというのはかって日本人が豊かになる過程に重なる。移民や出稼ぎが増えることで、様々なトラブルが起きるかもしれない。それもまた日本人が経てきた過程だ。

私たちは戦後とても豊かになった。そんな私たちはもっと賢くこの変化を楽しめるのではないだろうか?そんな私たちのタフネスを信じない福島党首は、実は有権者を蔑視しているのではないだろうかと思う。