2009年6月16日火曜日

自民党にはあきれかえるが、民主党には不安がある

二代連続して首相が一年で辞任し、期待された麻生首相も改革路線の旗印を降ろそうとするなど、自民党には呆れたものだ。自民党は小泉首相によって革新政党としてブランドチェンジを果たした。オバマなんかより早くて具体的で大きなチェンジだ。それが安倍首相が公務員制度改革に具体的に着手しようとして官僚の反撃にあい、追い落とされた。福田首相は粛々と実務を進めていったが安倍政権末期の参院選大敗による捻れで身動きが取れなくなった。
麻生首相はことの顛末を知っているので強面なのに公務員制度改革に踏み切れない。という間に世界経済危機がやってきて政治課題が苦手な経済問題になってしまった。与謝野大臣を引っ張り出し丸投げしたが経済問題が片付くまでは得意の外交はアジェンダにならない。
全く出る幕なしの麻生首相に対して民主党は政権交代と息巻く。自民党支持率が低下したと喜ぶが、民主党も仲良く支持率を落とした。民主党優勢に変わりはないが、あくまでも自民党に比較して。自民党を支持しなくなった人が民主党を支持するわけではない。逆に自民党がサプライズを仕掛けて支持を取り戻せばあっという間に反転する。
民主党の今のマニュフェストは農業戸別補償や年金対策などかつての自民党のばらまきと見紛うばかり。加えて、自治労や公務員組合、日教組などに支持されていて、公務員改革など出来そうな感じがしない。党幹部に日教組の重鎮がいるなど官から民へに逆行しそうだ。
自民党と民主党が共に支持率を下げた背景にはどちらにも失望している国民の姿が映る。正直に言えば次回の選挙では投票に困りそうだ。直感も理性も働かない。

いや〜参った参った…

定額給付金が消費刺激につながらないワケ

日経新聞 6月16日付 3面、10面

定額給付金をあてこんだセールを小売店が展開している。

でも、消費者の節約志向は相変わらずで売上を向上させたのは生活必需品や低価格の外食。
不要不急の消費は拡大せず、百貨店の売上は更に縮小している。

定額給付金が消費刺激につながらない理由は、貰ったお金は増やそうとは思わないからだ。お金を借りた場合、利子をつけて返済するために、人はお金を増やそうと努力する。増えたお金は更に必要としている人に貸し付けられ更に増える。お金を借りられる人も増え、更にお金が増えていく。それが貰ったお金ならば増やす必要もないので急いで使って増やせるようになろうなどとは考えない。
「生活防衛」というが、本当に生活出来ない人には生活保護もある。失業者には失業手当てがある。給料が減って生活が苦しいというなら、節約すれば大抵はどうにでもなる。
一時的に収入が減って大変な人にはローンを提供すれば良く、金融機関が小口の貸し付けがやりやすいようにしてやれば良い。
財源の裏付けもない給付金に後追いで増税が迫ってくることは国民は分かっているので臨時収入があったからと何か買おうとすることはない。それよりは新車購入の税金減額や空港使用料の補填により、税による需給ロスを減らすことが政府のやるべきことだろう。何かを買うことに伴う税金を減額する方が、消費刺激効果も高いし、それに伴うコストも安い。

鳩山辞任の最後っ屁

鳩山邦夫が総務大臣としての最後の会見で、春先に麻生首相とポスト西川の郵政社長人事についてやりとりしたと発言した。最後まで強気だった根拠がこれだったようだ。細田幹事長はこの発言を批判しているが、これには同感である。水面下の調整について公にするのは信頼関係を失う。
かつて、森元首相が拉致被害者を北朝鮮以外の第三国で発見されたことにして軟着陸させようと外国首脳と話していると発言して問題になった。これで拉致被害者の帰還に関するオプションが一つ消えた。同じような軽率さ危うさを感じる。
数ある可能性を探るのは当たり前のことで、その過程において言質をとられない様にして最終的な落としどころを決めていく。これが過ぎると不信感を招くが、オプションを持たずに最初からたった一つの結論しか持っていないと脆さを感じる。
鳩山氏は、その直載な物言いが評価されているのだろうが、アルカイダの友達発言や今回の発言の様に、自分の大きさや正しさを声高にアピールしようとするところがイマイチ信用出来ない。

※西川おろしにはナベツネも関わっていたらしい。国民の審判も受けていない政界のフィクサー気取りに振り回されるとは、政治家も情けない。マスコミが鳩山氏に同調していたのにはナベツネの影響もあったわけか。

2009年6月15日月曜日

クラウドコンセプト

「クラウド」というのはIT関連のバズワードになってしまった。だが、このコンセプトを分解してみると分散処理とかインターネットサービスとか結構昔からあるコンセプトの化粧直しだということが分かる。なので、同じ「クラウド」という言葉を使って違うコンセプトを提案してみたい。

この提案を考えたのは随分と昔のことだが、最近なるほどという商品が出て来て改めて見直そうと思う。クラウドコンピューティングは主にネットの"向こう側"のITリソースを組み合わせることで、必要な機能を手に入れることだが、僕のコンセプトは"こちら側"にある。こちら側のITリソースをより細かく単純な機能に分割して、それらの組み合わせで必要なソリューションを使う側が作り上げるというものだ。

コンピューターというのはことデジタルに置き換え可能なものには何にでもなる「万能機械」だ。だが、「何でも出来るは何も出来ないのと一緒」という様に、コンピューターは目的を持った人には使い勝手は悪い。
確かに、ノートにも計算機にも、本にもなる。だが、どの用途でも使い勝手はイマイチなのだ。
Amazonが電子ブックを発売し、POMERAというメモ専用機が発売されて人気が出ているのは、その用途の使い勝手が良いからだ。コンピューターは何でも出来る必要はなく、その人に必要ないくつかの専用機があれば良いのではないか?と思うのだ。
精々7つ程度の専用機が共通プロトコルによって連携して動けば十分ではなかろうか。

どうすれば会社の業績が上がるかを問い続ける

会社の業績が厳しい。「足元」というが今期の売上見込みが芳しくない。これは多くの会社に当てはまることである。業績が悪いのは色んな理由が見つかる。

曰く、

「不況だから」
「顧客が買わなくなったから」
「商品に魅力がないから」
「経営者がバカだから」

などなど。

でも、こんなことを繰言のように言っていてはダメだ。

「どうすれば不況でも売上が維持できるだろうか」
「どうすれば顧客に買ってもらえるように出来るだろうか」
「どうすれば魅力的な商品を開発出来るだろうか」
「どうすれば経営者に自分の考えに賛同してもらえるだろうか」

そして、

「どうすれば日本一魅力的な会社になれるだろうか」

ということを考え続けなければいけない。

日本一なんてなれるワケないって?

訳知り顔の評論は必要ない。
どうすれば達成できるかっていうアイデアを考えよう。

リーダーシップ研修

社内で「会議運営」に関する研修を行うこととなった。そう、講師をすることになったわけだ。会議をうまく進めるための「スキル」を教えることを期待されているようである。

しかし、

会議をうまく進めるのは「スキル」以前に「リーダーシップ」の問題であろうと思う。

曰く、

「議題に関係ない話を延々とする」
「会議中に呼び出されて中断する」
「発言が要領を得ず、時間がかかる」
「感情的な衝突で雰囲気が悪くなる」
「結論がはっきりしないで終わる」

などなど。

これらは議長やリーダー、上司のリーダーシップの問題であろう。

議論に関係ない話をさえぎり、会議中の呼び出しをしないようにしむけ、要領の得ない発言に質問を加えて整理し、感情的な衝突をクールダウンさせて建設的に議論させ、結論を明示して参加者に行動を促すのはリーダーシップ以外の何者でもない。

さて、プログラミング研修でも受ける気分で来る人にどういう「ハンマーセッション」で自省を促そうか。ちょっと楽しみである。

パッケージとスクラッチ−企業の基幹システムコンセプトの考察

企業がシステムを導入するとき、最初に、あるいは最後に問題となるのは「パッケージ(出来合い製品)にするか、スクラッチ(一から開発)にするか」ということである。一方は「市場で稼動が実証された安価な先進的な製品を導入することが出来る」とされ、もう片方は「自社の独自性や特殊性に応じた細やかなシステムを構築できる」とされる。しかし、この様な紋切り型の説明を含めて企業が基幹システムを検討する時に何を基準として選択するべきなのかということについて考えてみるべきだ。

企業で行われていることを、多少単純ではあるが、二つの軸で分けるとすると「変わりやすい<=>変わりにくい」と「フロントエンド<=>バックオフィス」という様になる。この中で「変わりにくいバックオフィス向け」は最もパッケージを採用しやすい。仮にスクラッチで開発したとしても、長期にわたって変更を行わないため、変更が必要になったときのオーバーヘッドが大きく、コストが最終的に割高になっていく。また、この種のシステムは会計や人事など公的な規則や法律に即したものである場合が多く、企業による独自性も出にくいので汎用的なパッケージで十分なのである。
「変わりやすいバックオフィス」向けというのはそれほど多くない。請求書の様式など取引先との関係によるものが多いので、個別の対応が必要にならざるを得ず、事毎にシステム開発をするケースがまだある。しかし、この種のものにも実は半製品ともいえるパッケージが沢山リリースされている。帳票をエンドユーザが開発出来るようになっているツールやデータの変換ソフトなどである。汎用的でありかつ特殊用途でも応用できるシステムを選定して導入するべきだろう。ただし、この種のツールは会計システムなどに比べると割高である。実際に利用する頻度などによって、導入するかどうかは検討するべきだろう。その手の半製品を使って開発業務を提供する会社もあるので、それを利用するのも手である。
「変わりにくいフロントエンド」は顧客との情報交換や社内の情報共有のために採用される、所謂情報系と呼ばれるものである。比較的軽く見られがちだが、一連の情報化の波の中で最も効果を発揮したシステム群であると思う。なので、システム領域で最も目立つ製品群であるとも言える。
「変わりやすいフロントエンド」は企業やその業界の商習慣が埋め込まれていることが多い。そのため最もシステムかもしづらく、システム化した際の変更も多い。そのため、システム化されていない最後の砦であるとも言える。逆に言えば、この領域のシステム化を実現できるかどうかが企業の競争力の源泉になってもいるのだ。だから、このノウハウだらけの業務をシステムに埋め込むのはその会社にしか出来ないことで、スクラッチ開発にせざるを得ず、パッケージは採用するべきではないだろう。

そう考えていくと、四分割した領域のうち、どうしてもスクラッチにしなければいけないのは一つだけで大半のシステムはパッケージを導入した方が良いだろう。スクラッチで開発する部分は自社の競争力になっている部分であって、それ以外は多少「システムに業務をあわせる」必要があるだろうが、パッケージ導入で十分であると思う。
ノウハウをシステムに埋め込むことに抵抗されることもある。ノウハウをシステム化した途端競争力でなくなるというのである。しかし、ノウハウが人についている限り、それはその人の競争力であっても会社の競争力であるとはいえない。その人がいなくなれば無くなってしまうほどの競争力であるのだ。だから、ノウハウはシステム化しなければいけないし、システム投資の大半はその部分に注がれるべきだろうと思う。