2009年9月14日月曜日

デフレスパイラルの原因

池田信夫氏が「<a href="http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/94d7da65e3eb27211bbc98a66c7b3663">ユニクロは日本を滅ぼすか</a>」という記事を投稿している。

ここで取り上げられている記事は電車の中吊り広告か何かで見て、中身を想像していたが、思った様に似非エコノミストの書いたものだった様だ。池田氏は経済学の理論に基づいて話を展開されているが、アパレルの流通現場から見ると何故ユニクロが正しいか歴然としている。

デパートや専門店の店頭に5万円のスーツがあるとすると、その仕入れ価格は1割の5千円程度である。これはアパレルに勤める人であれば誰もが知っている。アパレル企業はこのスーツを売ろうと仕入れるが、殆どの場合半分は売れ残る。売り切れるのことは滅多にない。これを「消化率」というが、消化率50%では売上に対する仕入れ率は20%となる。
さて、近年の消費者はバブルの頃の様になかなかものを買わない。そこで半分の消化率のうち値下げをして売るものが多くなる。仕入れ率は30%にもなる。さて、デパートなどは大体売上の4割くらいを取る。のこりの3割でアパレル企業の経費と利益が賄われる。これがユニクロ以前のアパレル企業のビジネスモデルだ(実際にはユニクロ以前にも価格破壊をするアパレル企業はあったが、ユニクロが大々的に成功した)。

ユニクロはアパレル流通のあらゆる無駄を削ぎ落とした。まずは安く生産出来るところで生産した。だがアパレルの原料価格や生産原価はたかが知れている。実際に価格にインパクトがあったのは「売り切る」ということと、デパートなどのマージンを取り去るということだ。直営店で売り切れば、その分だけ安くできる。6〜7割がこれで値下げ出来る。

そして、値下げは利益を消費者に「返して」いることになるのだから消費者は他の消費が出来るようになるということだ。アパレル流通においては"返品自由"といった商習慣が根強く、決して消費者の為の流通構造にはなっていない。それを見誤るとユニクロの「消費者のための努力」を貶めるような話になる。

漫然と日々を過ごし利益を得ているものと、血の出るような努力の末に(ユニクロがあれだけの物量を生産し、動かし、店舗で販売するのは想像を絶する仕事量がある。)消費者のためのビジネスをしている人を、良く比べて欲しいものだ。

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