2011年3月1日火曜日

日本郵政が赤字転落・・・は当たり前

「郵便事業会社の業績悪化が波及 郵便局会社も赤字転落へ」 
 
「郵便局会社は郵便事業会社やゆうちょ銀行、かんぽ生命保険からの業務委託手数料が収益の大半を占める。11年度の営業赤字を見込むのは、郵便物数の減少に加え、郵便貯金残高や生命保険の保有契約件数の減少で、収益が圧迫されるためだ。」 
 
郵便局を分社化して窓口業務の委託による収益を目指したのは、こういう成り行き任せの赤字を許さないためだった。「郵便物量の減少」「貯金残高の減少」「保険契約の減少」は予想されたことであった。パソコン通信の誕生時点から郵便が電子通信に置き換わるのは予想されたことだった。儀礼的な通信以外は電子化されるのは目に見えていた。しかし、郵便局は「郵便三事業を扱う窓口拠点」である以上はそれ以上の収益源を求めることは難しかった。 
 
そこで郵政民営化と四分社化であったのだと思う。即ち、郵便事業以外の業務受託が出来る自由度を郵便局に与えるということだ。完全に民営化すれば町のサービス拠点としてコンビニと同じ様な働きが出来たのではないかと思う。郵便局がコンビニのフランチャイズになるという選択肢もあった。しかし、民営化が逆行したことで望みのない郵政三事業依存に戻ってしまった。 
 
「郵便事業会社も同日、総務省に11年度の事業計画の認可を申請。1200億円近くの営業赤字を見込む今年度に続き、2期連続の営業赤字を見込んでいる。同社は12年度の営業黒字化を目指しており、今後は経費の約7割を占める人件費削減に向けた労使交渉が本格化する。」 
 
郵便事業の赤字は自業自得である。ペリカン便の統合に失敗して、1+1=1というミラクルな算術を展開してしまった。これで本業の郵便自体に対するサービスレベルの信頼度まで揺らぐ結果となった。日本郵政側が国営事業への返り咲きをたくらんでいる間に、郵便サービス自体の価値が毀損してしまったのだ。今は未だ郵便サービスが法的に独占保証されているので信書の配送は残っているが、ビジネスメール便やダイレクトメールはどんどんJP離れが進んでいる。 
 
郵便局は残業の削減を、郵便事業会社は人件費削減に向けて労使交渉をはじめるというが、日本郵政は亀井静香の肝煎りで非正規社員の正社員化が進んでいる。顧客離れが進んで、収入が減っているのに固定費である社員を増やすというわけの分からない事業方針を政治的に押し付けられて、なんとも不幸な会社であることかと思う。郵便サービスが儀礼的な信書が中心になっていく以上、繁閑の差は激しくなっていく。これを正規雇用で賄うと、よっぽど多能工化をしない限り収益性は良くならない。 
 
こういう結末になるのは去年の夏の騒ぎの頃から分かっていたが、いざこういう結末になると、官僚や政治家に商売に関わらせちゃいけないと強く思う。

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