2011年5月27日金曜日

QCD(F/S)->E/I

製品だろうがサービスだろうが、それを構成する要素はトレードオフの関係にある。品質:Quality、コスト:Cost、納期:Deliveryの三つは良く知られている。最高の品質を実現しようとするとコストは膨大になり、納期は長くなる。コストを最小にすると品質は犠牲になり、納期は無視される。とにかく納期を短くしようとすると品質は保証されず、コストは高くなる。

これは1)人材は有限であり、2)時間は有限であり、3)資源は有限であるという物理的な制約によるものだ。しかし、最近これら三つの要素に加えてもう一つ加えなければいけないのではないかと思う様になった。それは機能/サービスレベルである。機能やサービスレベルを品質に含めて考える場合が多いがそれでは混乱する。最高の鉛筆は機能はたった一つしかないが品質は上等である。

UNIQLOはスタンダードなカジュアル衣料に絞らながら、高品質を実現している。マクドナルドは規格化したオペレーションで安価で品質の良い食事を提供する。逆に、ディズニーリゾートは品質と機能を高めるためにコストは高い。しかし、その品質と機能が客の心を掴み高い価格でもリピーターを生むのだ。

Appleはどうか?iPod、iPhone、iPadは品質は良いが高い。購入までに待たされることもある。機能はと言えば、そんなに高機能ではない。機能はユーザー自身がインストールしたり、時には開発したりする。

ユーザー自身が開発するという点でこれらのiシリーズは正しくパーソナルコンピュータの後裔である。なら、こんな未完成なものにこれほど多くの人が魅了されるのだろうか。そこには体験:Experience や感動:Impression といったものがある。物理的な制約に閉じ込められたQCDF/Sと違い、これらには限界がない。問題があるとすればそのような製品やサービスを開発するにあたって、大抵の場合は"上司"という人には理解されないものだ。

だから、感動的な製品やサービスを生み出すのは多くの場合は上司を持たない起業家になるのだろう。

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