2008年10月10日金曜日

合理的な経済人モデルに自己暗示にかかってないか?

合理的な経済人モデルというものがある。景気判断や政策決定、経営などでも利用されるモデル。成果主義などの人事評価などもこれを前提としている。曰わく、「人は自分が経済的に有利になるかを合理的に判断し意志決定する」。

会社で事業計画や資金調達を立案する時に、経営者と銀行やファンドなどの金融機関の間や横で話をすることがある。話をしていると、経営者側に金融機関に対する不信が根強いことに気付く。確かに、金融機関は預かったお金を有利に運用したいと思っている。でも、有利に運用するには貸し付けた会社の事業がうまくいかなければならない。なんでも売れた高度経済成長時代と違い、事業会社が儲かる為には、経営者が元気でチャレンジ精神が旺盛だったり、働いている人が生き生きしていたり、ということが大事で本当に有能なバンカーやファンドマネージャーはそのことが分かっている。
だから、経営再建中の経営者は彼らと協力して問題に立ち向かうことが出来る筈だ。なのに、相手を「合理的な経済人」と思っている人は疑うことを払拭出来ない。そして、自分も負けじと「合理的な経済人」を演じる。合理的な経済人同士は決してWINーWINにならない。ZEROーTHAMゲームの中で泥沼にハマってしまうものだ。


信頼とか思いやりといったものが、殺伐としたモデル化の中で押しつぶされて、本来なら幸福が拡大再生産されるはずの経済発展の中でみんなが不幸になっていく。一度、「合理的な経済人」モデルから離れて人を素直に感じてみてはどうだろうか?

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