2009年8月7日金曜日

「名ばかり管理職」はもっと多い

日経新聞 8月7日 朝刊 9面
「すかいらーく3300人に残業代
管理職、社員の73%→6%」

管理職が社員の73%というのは異常な多さだ。これが6%に是正されたのは良いことだが、まだまだ「名ばかり管理職」はいるのだろうと思う。7月11日の投稿で書いたように、残業代支給をしなくて良いとされている「管理監督職」と所謂企業が言う「管理職」は違う。

管理監督職が『「経営者と一体的な立場」「出退勤の自由」「地位にふさわしい待遇」』をその基準としているのに対して、企業がそれにふさわしい処遇をしているかを考えると殆どの管理職が名ばかりであることは自明だ。社員側にも問題はあって、残業代が支給されない管理監督職として経営者/経営とでう関わるかについてあまり深く考えられてはいない。「経営者と一体的な立場」をとるために必要な情報を求めたり、権限を高めて行使することに熱心な人はなかなかいないものだ。

社員の6%が管理職という会社は結構多い。これは平均して16人の部下を持つ人が管理職となっているということだ。だが、この程度の規模のグループというのは多くて、酷い場合にはその人数に複数の管理職がいる場合があるというものだ。明らかに組織のトップによる指示命令でしか動けない「課長」が管理監督職として残業代を支給されずに働かされるのには多いに疑問がある。

管理職を無闇に増やして残業代を支給しないと経営にも大きな課題を残す。記事によるとすかいらーくは残業代支給に合わせてメニューの絞り込みなどの効率化を図り、店長の残業時間の短縮を実現したのだそうだ。残業が見えないことによって改善が疎かにされていたということだ。残業代というのは効率性や労働環境をはかる指標になるものだが、それが隠されることで企業の競争力が落ちたり社員のモラルが落ちたりすることが察知出来ない様になる。

では、管理監督職はどの程度の比率であれば適正なのだろう。軍隊を例にとると、管理監督職に相当するのは佐官以上になる。尉官は佐官見習いだし、実際に部隊行動の計画立案には関与しない。佐官の最下級、少佐は中隊長相当で、150人くらいの部隊を運用する。5〜10個小隊を指揮し、小隊の隊長は尉官が務める。

すかいらーくで言えば、店長は小隊長である尉官に相当し、佐官にあたるのはエリアマネージャやスーパーパイザーといったところだ。ホワイトカラーであれば、10人から20人をまとめる課長クラスは尉官に相当し、数人の課長を統率する部長が佐官となろう。とすれば、管理監督職と言えるのは精々社員の1%といったところなのだろう。とすると、企業には管理監督職と言われる人が今の5分の1で十分だということだ。

やっぱり、所謂"名ばかり管理職"はまだまだいる。

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