LIFE or MONEY
命は金で買えるのか。
とあった。
生易しい人権主義者なら「買えない」というかもしれない。時の総理の父親は「命は地球よりも重い」と言った。
だが、「命は金で買える」のだ。
例えば、世界には飢え死にする人がいる。彼らには食べ物を買うお金がない。耕す土地を買うお金もない。病気を直す薬も買えない。
だが、一方で気軽に食べ物を手に入れ、味に文句を言うことが出来る人がいる。僕だ。僕にはお金があるからそんなことが出来る。
そう。僕は日々命をお金で贖っている。
年老いた親の介護に疲れ果て、親を殺し自殺した人に、十分なお金があれば二人の命は救われた。お金があれば、高度な医療サービスを受けることが出来る。その気になればDNAから疾病リスクを割り出して、治療を受けることも出来る。お金があれば。
命はことほど容易に金で買えるのだ。
医龍は出世とは無縁の天才外科医が活躍する。しかし、彼は収入も安定せず人並みの家庭生活は送れない。生活感の欠片もない。
そんな赤ヒゲみたいなスーパーマンに頼った医療は限界だろう。
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