2008年6月11日水曜日

人間の英知は自然を越えるか?

日本水連がスピード社の水着使用を認める決定を下した。オリンピック直前の公式戦でスピード社のレーザーレーサーを着用した選手が世界新記録を叩き出したのが決定的だった。国内3メーカーも受け入れた。
今季世界で新記録を出したのは一人を除いて全てレーザーレーサーを採用した選手だったという。ただ一人スピード社以外の水着で新記録を出したアメリカ人女性選手は「水着が泳ぐわけじゃないでしょう」と言っているそうだ。実際は使用している水着メーカーと協力して自分にあったものを開発してもらっているので「水着と一緒に泳いでいる」というところだが、この言葉だけを取り上げて、いっそのこと"ふんどし"で泳いだら?などという意見もある。今日の日経一面のコラム春秋がそうだ。
スポーツでも陸上や水泳のような競技は人間がいかにして自然の驚異的なパワーに迫ることが出来るかということが目標だと思う。いくら世界新記録と言ってもイルカや回遊魚のスピードには遠く及ばない。元々人間の体は"走る"ことや"泳ぐ"ことには適していない。走るには足の裏が柔らか過ぎるし、泳ぐには体の凹凸が大きすぎる。それを矯正するのが靴や水着ということになる。
今や世界新記録は選手の鍛錬だけでは更新出来ない。走法や泳法もコンピューターのシミュレーションが利用される。靴も水着も人間の英知が自然に挑戦する手段と言えないか。

オリンピックの水泳ではトップスイマーのほとんどはレーザーレーサーを着用することになるだろう。そうなれば選出同士の勝負は積み重ねた鍛錬と技術によるのだろうし、世界新記録は選手の力と水着開発の努力が合わさった結果となるのだろう。とはいえ、それだけの労力を費やしても、最も遅いイルカにさえ遠く及ばない。まだまだ足りないということだ。

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