2008年7月11日金曜日

皇居のタヌキ

日経新聞 7月11日 朝刊 38面
「タヌキの論文を天皇陛下が共著」

天皇陛下が皇居に生息するタヌキの生態を調査して論文を発表したのだそうだ。東京のド真ん中にタヌキが野生の状態で生きているとは知らなかった。航空写真などで見ると開発されまくった東京23区の中で、皇居だけが取り残された様に緑を保っている。少し離れて明治神宮の杜があり、昔ながらのね習俗が緑の維持に一役買っていることが分かる。
戦前に皇居を中心として点在していた緑は多くは宮家の敷地だった。江戸時代は御三家や大大名の屋敷。戦時下の混乱と戦後の宮家の廃止の中、かの堤義明の父親が敷地を買いあさりホテルを開発し、江戸時代から明治大正昭和初期を通じて守られた東京の緑は多くがコンクリートとアスファルトで埋められた。
世界でも、王族の邸宅が煌びやかさより自然との共生を体現しているのは珍しいと思う。日本人の心性は便利さより自然への畏敬が基にあるのだろう。僅かに残された居住スペースを有効に利用したり、狭い中で工夫して産業を興すのはそれがためだと思う。
無用な公共工事や山林の放置は"日本人らしさ"がない話だと思う。

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