2008年7月28日月曜日

無差別殺人事件が増えているという「誤解」

わずか二ヶ月のうちに秋葉原と八王子で引き起こされた無差別殺人事件は、「ワーキングプア」とか「格差社会」といったキーワードを引きずりながら無秩序化 する社会を象徴する様な印象を振りまいている。もちろん、振りまいているのはマスメディア。昨日もフジテレビのサキヨミで「無差別殺人事件の発生件数は過 去最高の年間8件に7ヶ月で追いついている」といったことが放送されていた。また、無差別殺人事件は「あくまで特殊な人間が引き起こした事件だと、思う/ 思わない」というアンケートをとっていた。結果は「思わない」と普通の人でも無差別殺人事件を引き起こす可能性があるとみんなが思っているという結果に なっていた。
だが、考えてみて欲しい。過去、無差別殺人事件が起きなかった年があるとして、起きた年でも年間高々十数件なのだ。人口百万人あたりで言えば、0件か 0.1件かの違い。過去最高の年が8件で、今年が15件になったとして、人口百万人当たり0.6ポイントの違いしかないわけだ。これは誤差以上の何者でも ない。しかも去年の発生件数は少ないし、継続的に年々増加しているわけでもなく、増減が激しいので「偶々」重なったという以上の意味はないと思う。
殺人事件の件数は2007年は過去最小の発生件数だったという。殺人は昭和30年が発生件数としてはピークで、それから年々減少している。人口が増えてい る中で発生件数が減っているということは、社会の安定性や安全性が加速度的に高まったといえるだろう。現在では外国人居住者の増加など、社会秩序が不安定 になる要素を孕みつつも殺人事件の件数が減少しているのは全体的に社会の安定性が高いレベルで維持されていることの証拠だ。
一連の事件の背景はもっと別のところに原因が求められるのではないかと思う。

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