2009年10月26日月曜日

潰すか、作るか

どなたかのブログで「旧体制の破壊よりも第二を作った方が良い」「郵政を解体しても、第二を作っていなかったので反動を招いたではないか」といった記事があった(と記憶している。記憶違いかもしれない)。

旧体制を「潰す」か新体制を「作る」かというのは同時に出来そうで出来ないことの一つである。その中でも、先に潰すか、先に作るかというのはなかなか難しい。今回の郵政に関しては、先に潰してそれから作るという方を選択したわけだ。これには今のNTTの問題もあると思う。NTTは先に作った典型だ。第二電電をはじめ先に競争相手が出てきて、それからNTTが民営化された。しかし、実際には壊す方が不十分で様々な規制に守られているために、適正な競争状態は未だに実現していない。

郵政も同じ様に非常に巨大な事業体である。だから、先に潰さないとNTTの様に居座り続けるということになってしまう。NTT解体をAT&Tの解体、再統合に比べて今更地域解体する必要はないという人もいる。NTT労組の支援を受ける原口大臣はNTTの地域分割よりも再統合を目指しているようだ。郵政といい、NTTの再統合といい、結局民主党になっての動きは「再国有化」ともいうべきものだ。

冷静に考えてみると、日本の幾つかの業界では国営またはそれに準ずる(国の規制に守られた)企業がシェアNo.1というのが多い。銀行業界では郵貯、生命保険では簡保だ。通信分野ではNTTが未だに規制に守られて君臨している。物流業界では郵政公社が最も大きいし、今回の国有化とも言える動きで航空会社No.1も国営企業になってしまった。テレビ業界もシェアNo.1はNHKだし影響力も強い。農業では基本的には政府が専売制を布いている。事ほど然様に日本では国営・公営企業が占める割合は大きいのだ。「日本社会主義」と揶揄されたのもむべなるかな。

小泉政権が目指したのはその開放であった。それは「新自由主義」などではなく、基本的な「自由主義」であった。日本社会党は長い間社会主義を標榜してきたが、今回の亀井大臣によって明らかになったように自由民主党は実際には「社会主義」政党であった。社会党が長年にわたって第一党になれなかったのは、そして恐らくなれないままその歴史を閉じるのは、自民党も民主党も本質的には社会主義であるからだ。小泉政権は戦後数十年の歴史の中で一瞬光った自由資本主義の光であったのだと思う。

0 件のコメント: