2009年10月26日月曜日

参院選と首長選の結果に見る政治のバランス

参院補選と自治体首長選挙の投開票が25日に行われた。

結果は参議院補欠選挙では民主党が全勝するというものだった。ところが、自治体の首長選挙では民主党は一勝二敗。いずれの首長選も現職が勝つという結果に終わった。この結果は何を意味しているのだろうかと考えてみた。

参院補選の結果は神奈川では民主党候補に対して次点の自民党候補は78.4%の得票数。静岡では民主党候補に対して次点の自民党候補は68.8%となっている。宮城県知事選では自公が支援する現職候補に対して次点の民主党推薦候補は26.9%。川崎市長選挙では現職に対して民主候補は80.6%。神戸市長選では民主党現職に対して無所属の次点候補者が95.1%となっている。

こうしてみると、自治体の首長選挙では民主党の神通力は全く通用しないということが分かる。川崎首長選では現職が前回は民主党の支持も受けていたのが、今度は対立候補が立てられて苦戦する中で20ポイントもの差をつけて民主党候補に勝利したというのは大きい。神戸市長選挙では民主党候補は対立候補にたった5ポイントしか差をつけられなかった。これは投票率が1ポイント変わっただけでも逆転した可能性があったということになる。

首長選挙は現職が常に優位である。自治体の首長というのは大抵の場合地域の「利害調整役」を担っているので、有権者は現職に対して様々なしがらみを抱えている。しかし、都市生活者が多くなると首長が解決する利害関係と住民が一致しなくなる。住民は隣の町などで仕事をしているために経済的利害関係があまり生まれないからだ。だから、川崎市と神戸市の二つの首長選挙はしがらみがあまり関わらないので現職を打破するチャンスは大いにあった。そこで、片や20ポイント差をつけられて負け、片やたった5ポイント差で凌いだというのは民主党が国民政党ではあっても地域政党ではないことの証左ではないかと思う。

その意味で、今回の選挙結果は大変面白い。政権誕生からダム建設などをを次々と中止して、地域の利害との決別をしてみせた民主党。更に、国全体の経営効率化を目指した全体最適にだけ注力せよというメッセージがここに籠められているのではないかと思う。地方分権などを標榜する民主党にとって、国家的アジェンダと地域のアジェンダを分別して取り組む住民の意志は大変参考になると思う。

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