2007年3月13日火曜日

日興上場維持の賛否両論

日興株、東証が上場維持 利益水増し「重大といえず」

ということで、上場維持が決定した。この記事では事実が淡々と述べられているが、他の記事では・・・

「疑わしきは罰せず」 日興上場維持 東証、疑問残る判断
「グレー企業」裁けぬ上場廃止基準 日興めぐり東証維持

と批判的な論調。上場基準、廃止基準が明確でないということが問題と指摘していた。

上場基準って何だっけ?で紹介されているさよなら日興コーディアル証券で解説されているように今回の日興の不正経理はライブドアよりも悪質。なのに、かたやライブドアは上場廃止で日興は維持ということになると不公平感が拭えない。

連日報道されている日興コーディアルの会計問題ですが、金融庁が課徴金5億円を勧告しました。株価はストップ安。会計上の不正操作金額はライブドアのそれを上回ります。
ライブドアの経理処理は最終的には違法と判断されたわけだが、元々不正かどうか判断の前例がないものだったわけで、法網をくぐったと言われるかもしれないが明確な違法性には疑問がある。裁判ではその点が争われず、堀江氏が支持したかどうかだけが注目されているが、本来は本当に指摘されたような法律違反があったかどうかをもっと論点にして欲しい。以前から思っていたのだが、ライブドアの問題は実に国策捜査だったのではないか。国や捜査機関の面子をかけた摘発で結論ありきだったのではないかと思うのだ。

この構図は昔のリクルート事件と同じだ。

一方、

日興コーディアル上場維持決定!

では、上場維持で「良識」が勝ったという意見が述べられている。
このブログで何度か述べさせていただいているとおり、内部統制とかリスク管理というものは通常、「トレードオフ」の関係にあるもので、コストをかければかけるだけリスクを減らすことはできますが、リスクを「ゼロ」にすることは絶対できないわけです。
確かに、リスクを受け入れることを含めて、全体的にコストのロスを軽減する方向に社会が動くというのは理解できる。しかし、ライブドアは旧態依然とした経済の枠組みに対立したということに対して、捜査機関が”社会正義”を振りかざして横暴を働いたというのが実態をあらわしていると思う。だから、コストが高い方向を社会正義で強要したという点で捜査機関も東証も責任を負うべきだろう。

そして、ライブドアを上場廃止にした基準に照らせば日興も上場廃止にするべきだったし、捜査機関も乗り込むべきだった。だが、日興を守ろうという政財界の圧力がそれをさせなかった。そうと判断するしかない。

結局、公正中立なものは何もないという悲しい現実があるということだ。それは捜査機関(警察、検察)、取引機関(東証)、報道機関(新聞、テレビ)を含めて。

日興がシティに買収される結果には呆れた。日本国内に日興を買収しようという野心のある企業がないことに呆れた。これも悲しい現実。

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