2007年9月19日水曜日

携帯『1円販売』見直し

日経新聞 9月19日 朝刊三面
「携帯『1円販売』見直し」

総務省で販売奨励金を制限して実質的に端末価格が通信料に加算されている業界のビジネスモデルを改める様にする報告書をまとめた。「携帯電話市場の活性化策」らしいが、これが活性化に結びつくとは思えない。端末が高くなれば買い控えがおきるし、端末をキャリア間で共通化させるとキャリア間の競争要因が価格以外になくなり、新しいサービスが生まれなくなる。
総務省の真意は記事の最後の方にある。端末メーカーの再編を促し、他の先進国並みの1〜2メーカーにして国際市場に売って出させようということだ。ノキアやエリクソン、LGなどが国際市場でシェアを取っていることを例に日本企業の国際競争力を高めるというのがその主張だ。

グローバル化とかなんとか言って日本企業を過小評価するのは官僚の悪い癖だ。「国際市場」というが、実際にはアメリカとヨーロッパという別々の大きな市場とアジアの小さな市場がバラバラにあるだけ。アメリカとヨーロッパにしても消費者の歴史的、文化的背景が全く違うので、とても単一の市場とは言えない。結局、当たり障りのないデザインや機能の似たような端末が価格競争をしているだけだ。確かにエリクソンやノキアは国際的に有名だが、そもそも利益を出すためには小さな国内市場だけではやっていけなかったというだけのこと。
それに比べ、日本は背景の似た消費者がいる巨大市場。しかも、携帯キャリア3社に加え、PHSや新方式など通信インフラも端末デザインも料金プランを含めたサービスも、その競争は苛烈を極める。
つまり、中途半端な海外市場の集まりよりも日本市場で成功するのは難しいということだ。エリクソンとソニーが提携してエリクソンデザインの端末が日本市場を独占しているなと言えば、そんなことはない。LGだって同じこと。日本市場と日本企業を侮るなかれ。

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