2009年6月1日月曜日

企業の未来

GMが破産法の申請をする可能性が濃厚になっているという。クライスラーは申請済みだが、これでアメリカの経済を支えると自負する自動車産業ビッグスリーのうち二つが破綻したことになる。フォードの先行きがどうなのかは分からない。しかし、GM・クライスラーよりは良い結果を迎えるのではないかと思う。

ビッグスリー各社の成り立ちを見てみるとそれぞれに特徴がある。

GMは創業当初から「持ち株会社」であったのだそうだ。そのため創業後短期間のうちに当時100社を超えていた自動車会社を買収していった。GMが多くのブランドを抱えているのは、その買収の歴史を示しているのである。
クライスラーは先進的な技術を使った自動車会社として成長を遂げた。その技術力で得た業界トップの地位を背景にヨーロッパを中心とした自動車メーカーを次々と買収したが、比較的ブランド力のない小規模の会社ばかりを買収したために経営統合の効果などを出すことが出来ずに低迷した。
フォードは他の二社と違い、創業一族が一貫して経営権を握っている。そのことは伸び悩みを招いたこともあったが、概ね安定した経営が続いてきた。一時社長となったアイアコッカは創業一族との対立でクライスラーに去り、クライスラーの繁栄と転落を演出したのだから面白いものだ。

そして、ビッグスリーのうち創業一族が残らない二社が破綻の憂き目にあっている。

これは何を示すのだろうか。

もちろん、創業一族が残る、所謂「ファミリービジネス」こそが持続性のある企業となるとは言わない。創業一族が後継問題を解決できなくて破綻していく例は枚挙に暇がない。ただ、フォードが、そしてトヨタが、創業一族が経営に関わり続けることで創業の精神を忘れることなく続いているということも事実だろう。

大きな決定権をもった創業者がいることは一方で独善的になるなどの弊害もある。経営権が分散して多数の利害関係者が最良の選択を促すという株式会社の良い点は、今のところ官僚制によって発揮されていない様に思う。GMにしろ、クライスラーにしろ、中長期を見据え、創業からの歴史の連続を踏まえた上で意志決定をする構造はどこにもない。この株式会社という構造の限界を人間はどうやって解消していくのだろうか。

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