2009年7月28日火曜日

ユニクロ最高益更新を真正面から捉えよう

日経新聞 7月10日 朝刊一面
「『ユニクロ』最高益1080億円」

ユニクロが歴代最高の営業利益1080億円を叩きだしたという。この営業利益から、有利子負債の利払いなどを差し引いて、最終経常利益がどれほどになるのかは不明だが、今の経済環境下で利益を増やすというのは驚異的だ。会社でも時々ユニクロの話題を出すのだが、決まって「今は不景気なので売れているだけで、景気が良くなったら真っ先に変われなくなってダメになる」という反応が返ってくる。不思議なものだ。

ユニクロは景気が悪いときでも良いときでも常に成長を遂げてきた。一時頭打ちか?と言われたが、それまでの方針から一転、カラーバリエーションを増やしたり、高機能衣料を開発したりと、価格はそのままで付加価値を高めることに力をいれて成長を果たした。ビジネスの視点から言えば、顧客ニーズの変化に即応して機会をものにしたというところだ。ビジネスパーソンとしては、そのことに真正面から取り組みたいと思う。

成功者が出ると、そのうちダメになるという評価が下されるのは良くあることだが、そういう発言は決まって変化を拒んでいるものの口から出てくる。成功者の多くは環境変化に合わせて自らを変えたもので、自ら変わろうとしないものからは苛められるものだ。白鳥は昔から白かったわけではなく、環境変化に合わせて白くなった。でも、最初に白く変化した個体はさぞかし仲間内から苛められたことだろう。しかし、生き残るのは自ら変化したものだけ。

「理由のない成功はあるが、理由のない失敗はない」

とは人口に膾炙しているが、成功にだって理由はある。ユニクロの成功は実質的な創業者である柳井氏のパーソナリティによるところはあるが、第一の成功要因は「ロジスティクス」である。原料の調達から生産、輸送、販売にいたるまでのサプライチェーンを最適化して、顧客に魅力的なデザインと価格を安定供給できる仕組みを作り上げたことが成功の主因だ。実はトヨタ自動車の成功要因も同じである。消費財の成功要因は供給力を支えるロジスティクスにあることは今や常識ですらある。

翻って、レナウンに代表される不調なアパレル各社の過去の成功要因は「デザイン」とか「流行発信」であった。それは日本人のファッションに関する知識が不足していたことから、アパレルメーカーが提供するファッション情報が消費を決定づけていたからだ。それが日本人のファッションスキルが向上するに従って、消費者に選択肢と商品をコンスタントに供給し続ける能力が成功要因に変わってしまったということなのだろう。

もちろん、ユニクロだってデザインを開発したり、素材を開発したり、と情報発信をしている。だが、それは消費者のアテンションを惹くものではあっても、消費者を継続的に購入に走らせるものではない。安定した商品供給、安価で高品質な商品が成功を呼び続けているのだ。マーケットに敏感に反応するというのはこういうことなのだと思う。

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