2007年5月31日木曜日

書評「iPhone衝撃のビジネスモデル」

「iPhone衝撃のビジネスモデル」岡嶋裕史 光文社新書 2007.05.20発行

AppleがiPhoneを使って展開すると著者が推測しているユビキタスコンピューティングの未来像についての論考。マイクロソフトはハードウェアとソフトウェアを分離させてアドバンテージを作った。ネットスケープがインターネットをコンピューティングの中心に引き出したことで付加価値の中心がサービスに移り、アマゾンやGoogleはインターネットサービスで地歩を築いた。だが著者はサービスをユーザーが水平統合する現行のモデルに疑問を呈している。その上でAppleがハードウェアとソフトウェアを統合して提供するモデルの方がユーザーのメリットは大きいと主張する。この垂直統合モデルの最後の顧客接点でユーザーにメリットを感じさせるのが自由度の高いiPhoneのインターフェースだという。

さすがにApple=スティーブ・ジョブスが全て計算ずくだとまでは言ってないが、ベタ誉めなのが気になった。集合知に一定の評価を与えながら、オープンソースのベストエフォートの考え方に疑問を挟んでいる。つまり、ガランがマーケットより優れてユーザビリティが高いと言っている。典型的な学者の論考だが現象の一面を整理する役には立った。

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